日本の大マスコミが報道しない「パナマ文書」暴露、本当のタブー=吉田繁治

本稿では、バージン諸島のタックス・ヘイブンを暴く「パナマ文書」が公開された目的を推理します。南ドイツ新聞にファイルを送信した「ある人物」は、どんな目的でこの情報を公開したのか?単に正義感からというのはナイーブに過ぎるでしょう。(『ビジネス知識源プレミアム』吉田繁治)

※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2016年5月11日号を一部抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に無料のお試し購読をどうぞ。

決して正義感からではない、パナマ文書暴露「真の目的」とは

「富裕層のペーパー・カンパニー」は本題にあらず

5月10日にパナマ文書の内容が公開されて、波紋を広げています。しかし、富裕層や権力者がペーパー・カンパニーを作りそこにマネーを移動していることは、問題の本筋ではないのです。その金額は、全体から見れば小さい。
(注)ただし、中国の習近平国家主席の親族の口座の問題は、今後、体制を揺るがす問題に発展するかもしれません

大きな問題点は、世界のほとんどの大手金融機関が子会社やペーパー・カンパニーを作り、そこに資金を移動して運用していることが明らかになってきたことです。

【関連】アメリカ覇権の延命を担う「パナマ文書」の株高・米ドル高効果

公開されたデータでは、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴ、JPモルガン・チェース、シティ・グループ、モルガン・スタンレー、ゴールドマン・サックスなど、ウォール街の大手銀行がほぼすべて出ています。

加えて、英国のグローバル・バンクであるHSBC、バーレイズ、ドイツ銀行、フランスのBNPパリバ、ソシエテ・ジェネラル、オランダのABNアムロ、スイスのクレディ・スイスやUBSなど、世界中の大手銀行の名前が出ているのです。大手グローバル・バンクは、子会社のプライベート・バンクも通じて、タックス・ヘイブン(租税回避地)を使う課税逃れを、顧客への金融商品にしてきたからです。

当然でしょう。『タックス・ヘイブンの闇(邦訳2012年)』を書いたニコラス・シャクソンは、「世界の銀行資産の50%は、タックス・ヘイブンにある」と書き、IMFもそれを肯定していたからです。

世界の銀行の総資産は、世界のGDP($60兆)の約2年分($120兆:1京3200兆円)くらいでしょう。その半分は、$60兆(6600兆円)です。わが国で最大の、三菱UFJフィナンシャルグループの総資産が286兆円(15年9月)ですから、その23倍です。<中略>

「パナマ文書」が暴露されるまでの経緯

経緯は、以下のように報じられています(ニューズウィーク誌)。

・2014年末に、ある人物が南ドイツ新聞の記者(バスチアン・オベルマイヤー)に暗号化されたチャットを通じ、連絡をつけてきた。
・その人物は、「犯罪を公にしたい」と言ったという。
・実際には顔を合わせず、連絡は、暗号化されたチャットのみだった。
・その理由は、「情報を暴けば命がなくなる」からだということだった。

オベルマイヤー記者は、暗号を使うチャットのチャンネルを時々変えて応対し、コミュニケーションの内容はその都度、消去している。パナマ文書のファイルは、少しずつ南ドイツ新聞に送られてきた。書類を作っていたパナマの法律事務所は、「モサク・フォンセカ」と言った。

1977年から2015年12月までの記録で、記事は1150万点に及ぶ。文書サイズも2.6テラバイトと巨大である。

2010年にウィキリークスによって暴露された米国外交文書が1.73ギガバイトでしたから、情報量はその1500倍です。

Next: 命の危険を冒して情報を公開した「ある人物」の本当の動機とは?

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