記事提供:『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017年5月10日号より
※本記事の太字はMONEY VOICE編集部によるものです
『三橋貴明の「新」経世済民新聞』2017/5/10より
復興大臣を務めていた今村雅弘衆議院議員が、相次ぐ失言によって大臣辞任に追い込まれました。
なんというか、しょうもない話としか評しえません。
まず今村大臣、4月4日の記者会見で「自主避難者は自己責任である」旨を口走ってしまった。
おまけに J-CASTニュースが4月5日に配信した記事によると、問題のやりとりはこうなっているのです。
記者「帰れない人はどうするんでしょうか」
復興相「どうするって、それはもう本人の責任でしょう。本人の判断でしょう」
記者「自己責任ですか。(今村復興相、再び「え?」と聞き返す)自己責任だとお考えですか」
復興相「自分はそうだと思いますよ」
https://www.j-cast.com/2017/04/05294903.html?p=all
記者は「(被災地に)帰らない人はどうするのか」と聞いたのではありません。
「帰れない人」と言っています。
帰ろうと思えば帰れるのに、帰ろうとしない人は自己責任だと言うのならまだしも、
帰りたくても帰れない人まで自己責任なんですかね?!
ヾ(℃゜)々\(◎o◎)/それはただの切り捨てだろう\(◎o◎)/(゜;)エエッ
『右の売国、左の亡国』の「政治経済用語辞典」では
・自己責任
・自助努力
・自立をうながす
・創造的復興
といった言葉について、本当の意味を暴露・・・
もとへ定義しましたが、
今村大臣、これらの定義が的確であったことをみごとに証明してくれました。
https://www.amazon.co.jp/dp/475722463X(紙版)
https://www.amazon.co.jp/dp/B06WLQ9JPX(電子版)
「挑発した記者が悪い」という擁護論もあるようですが、いやしくも政治家、とくに大臣たるもの、
ジャーナリストのツッコミにたいし、余裕を持って受け答えできないようでは話にならない。
アーネスト・ヘミングウェイの名言にならえば
「腹が据わっているとは、圧力のもとでも優雅さを失わないことだ」
(BY GUTS I MEAN GRACE UNDER PRESSURE)
であります。
そして今村大臣、その三週間後、4月25日にこう言ってしまった。
「これ(=東日本大震災)はまだ東北でですね、あっちの方だったから良かった。
これがもっと首都圏に近かったりすると、莫大なですね、甚大な被害があったというふうに思っております」
http://www.news24.jp/articles/2017/04/26/04359900.html
そりゃあ、首も飛びますわな。
例によって、「失言でいちいち辞任に追い込みたがるマスコミが悪い」という擁護論もあるようですが、
大臣を辞任に追い込んだのはマスコミではありません。
安倍総理です。
問題の失言に関する情報は、官邸にいた総理と菅官房長官にもすぐ入りました。
対応を協議した際、総理は迷わず「更迭だな」とバッサリ。
かばいきれないと考えていた官房長官も賛成します。
今村大臣のいる自民党二階派のパーティ会場に向かった総理は、「東北で良かった」失言について謝罪する形で、更迭の意思を表しました。
失言が飛び出してから経過した時間は、なんと、たった70分!
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170427-00000011-asahi-pol
というわけで、失言で辞任に追いやるのは間違っているとお考えの方は、マスコミではなく総理を批判しなければなりません。
現にパーティ主催者だった二階幹事長はそうしています。
http://www.asahi.com/articles/ASK4X4TKQK4XUTFK012.html
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