アメリカの航空会社による乗客への強制降機が何度か報じられていますが、今度はデルタ航空でも同じ問題が起こりました。その背景には、客室乗務員の役割の変化があります。(『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』児島康孝)
ユナイテッドに続きデルタまで。米航空会社の顧客対応の背景は?
また強制降機
AFPの報道によると、デルタ航空を利用した米国人の家族がハワイ発ロサンゼルス便のオーバーブッキングで降機を強いられたとされています。投稿動画をみますと、まだ小さな子供を席に座らせたところ、降機を強いられたようです。
アメリカの航空機をめぐっては、ユナイテッド航空の強制降機の様子がソーシャルメディアで拡散され、非難を浴びたばかりです。この問題は、ソーシャルメディアで投稿されたことで広く知られることになりました。
ここ20年で大きく変化、アメリカ航空会社の機内対応
ユナイテッド航空やアメリカン航空は、現在も運航自体はとてもしっかりしている印象です。航空業界に関してはアメリカは先進国であり、国内線・国際線を問わず日常的に利用されています。
一方で、客室乗務員の様子は、ここ20年ぐらいで大きく変化しています。
もともとアメリカでは、客室乗務員への憧れは日本などアジア諸国に比べるとあまりありませんでした。また、飛行機に乗るということもアメリカではあまり特別なこととは思われていなくて、機内サービスも特に力を入れるべきことではなかったのです。
ですから、20年ぐらい前は、客室乗務員の接客や機内サービスのレベルは、日本やアジアの大手航空会社の方がかなり上であったのです。日本やアジアの方が、客室乗務員になるための競争倍率も高く、それにともなって接客のレベルも高く、機内食も良かったという感じです。アジアの国にとっては客室乗務員は人気の職業で、いわゆる「良家の子女」が多く勤務しているということもありました。
この時期のアメリカの航空会社は、あまり目立った印象はなく、客室乗務員の対応はおざなりという印象はありましたが、強引な対応はほとんど見かけませんでした。
当時のアメリカの航空会社の客室乗務員の職業状況について、日本の航空会社の人に聞くと「車内販売と一緒の部分もあるからね」と解説していました。
機内サービスについては、その後、日本の航空会社のリストラが進んだことで、アメリカの航空会社にいわゆる「サヤ寄せ」されました。そのため、日本の航空会社の機内サービスの良さ、国際線の機内食の「豪華さ」も目立たなくなりました。
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