ビットコインはどこまで「詐欺」か?通貨の本質から見た仮想通貨騒動=島倉原

記事提供:『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2017年10月5日号「アベノミクスの虚構」より
※本記事のタイトル・本文見出し・太字はMONEY VOICE編集部によるものです

プロフィール:島倉原(しまくら はじめ)
1974年生まれ。経済評論家。株式会社クレディセゾン主任研究員。1997年、東京大学法学部卒業。株式会社アトリウム担当部長、セゾン投信株式会社取締役などを歴任。経済理論学会及び景気循環学会会員。

「通貨」と呼ぶこと自体誤り。ビットコインは時代に逆行している

「ビットコインは詐欺」発言にマイニング企業が反論

最近、ビットコインをはじめとする、いわゆる仮想通貨についての記事を目にする機会が増えています。急激な価格上昇が投機マネーを引き付け、決済や資金調達上の用途が広がる一方で、北朝鮮によるハッキングの対象になるなど、様々な話題を提供しています。

一般的な通貨であれば、法定通貨なら政府や中央銀行、預金(通貨)なら民間銀行というように、特定の管理主体が存在し、発行量も経済状況などに応じて変動します。

ところが、仮想通貨に関しては、そうした特定の管理主体は存在せず、発行量や発行ペースは予め決まっています。ビットコインの場合には、インターネット経由で取引認証を処理した「マイナー」と呼ばれる不特定の参加者に報酬としてその都度付与する形で、決まったペースで新規発行されています。

このビットコインを「詐欺」と評したのが、世界の金融業界の大物の1人で、アメリカ大手銀行JPモルガンチェースのCEOであるジェイミー・ダイモン氏

対して、ビットコインのマイニング企業、MGTキャピタルのジョン・マカフィー氏は、以下のように反論しています。

ビットコインが詐欺とはどのような意味でしょうか。

私はマイナーであり、ビットコインをマイニングによって生み出しています。1ビットコインをマイニングするには1000ドル以上のコストが計上されます。

その反対に、USドルを生み出すにはどの程度のコストが掛かるのでしょうか。USドルは紙幣を刷れば生み出せますが、ビットコインはプルーフ・オブ・ワーク(注:取引認証のこと)のために大量のCPUパワーとハードウェアを動かす電気が必要になります。

詐欺的なのはどちらなのでしょうか。

出典:「詐欺はどちらか」JPモルガンCEOダイモン氏の発言にビットコインコミュニティが反論 – ビットコインニュース(2017年9月15日配信)

要するに、ビットコインの方が米ドルよりも発行にコストがかかるため、価格が上昇するのは当然、という理屈。おなじみの「金属主義」の発想にも似た、「原価主義」ともいうべき反論でしょうか。

しかしながら、通貨を受け取る人にとって、発行コストにいくらかかっているかなど、明らかにどうでも良い話です。問題はむしろ、他人からも価値を認められ、支払手段として使えるかどうかでしょう。

Next: 世間の見方と裏腹に、ビットコインは時代に逆行している

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