世界恐慌の噂を検証~ドイツ銀行が破綻するとは思えない10の理由=矢口新

元為替ディーラーで、ベストセラー『生き残りのディーリング』著者の矢口新氏が、有料メルマガ読者の質問にズバリ回答。この記事では、一部で囁かれているドイツ銀行(Deutsche Bank)の破綻懸念について取り上げた回を限定公開します。(『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』)

巷で囁かれる「ドイツ発世界恐慌」の可能性を検証する

メルマガ読者からの質問

ドイツ銀行が危ない、という記事を目にしました(※ドイツ銀行を巡る暗い噂。ドイツ発の世界恐慌の可能性も!? – ハーバービジネスオンライン)。これに関して矢口さんはどう思われますか?

【関連】イギリス国民を「EU離脱」に追い込んだ、欧州連合とECBの自業自得=矢口新

矢口新氏の回答

私は銀行セクターの調査アナリストではありません。もっとも、金融機関に長く勤めていた中に、日英米スイスの金融機関、銀行がありますので、何らかの参考になるかもしれません。その点をご了解下さい。

さて、この記事が指摘する問題点を見る限り、私にはドイツ銀行が特に危ないとは思えません。まず記事の要点を挙げてみます。

  1. ドイツ銀行の金融取引総額は67兆ユーロと、ドイツのGDPの20倍に匹敵する規模に膨らんでいる
  2. 第3四半期は62億ユーロの赤字が見込まれ、2万3000人の人員削減が実施された
  3. フォルクスワーゲン問題と、ドイツの他社自動車メーカーに及ぼす影響
  4. 難民問題
  5. ドイツの輸出が後退
  6. ドイツの重要な貿易取引相手国である中国の景気後退
  7. 経営難にあるという噂。違法行為。昨年と今年で2人の頭取が辞任を表明
  8. スタンダード&プアーズが今年6月にBBB+に降格
  9. ドイツ銀行がギリシャに融資した資金は不良債権に
  10. いま、ユーロ圏では「ドイツ銀行は健全な銀行とは言えない」という認識が高まりつつある。これは、もはや一触即発、爆弾を抱えているような状況だ。何かが要因となって爆発すると、ヨーロッパそして世界を危機に陥れることになるのは明白だ。リーマン・ブラザーズの比ではない

これに対する私の見方は以下です。

先日、日米欧などの金融当局でつくる金融安定理事会は、世界の金融システムへの影響が大きい「巨大30銀行」への新たな規制を発表しました。これらの銀行は「大き過ぎて潰せない」銀行なので、もしもの場合に備えて、準備金をより多く積むなど、流動性を高めておけという規制です。

それに先立ってG20が発表した「大き過ぎて潰せない」銀行と、その重要度は以下の通りです。

Level 5: 無し
Level 4: HSBC, JPMorgan Chase
Level 3: Barclays, BNP Paribas, Citigroup, Deutsche Bank
Level 2: Bank of America, Credit Suisse, Goldman Sachs, Mitsubhishi UFJ FG, Morgan Stanley
Level 1: Agricultural Bank of China, Bank of China, Bank of New York Mellon, China Construction Bank, Groupe BPCE, Groupe Credit Agricole, Industrial and Commerical Bank of China Limited, ING Bank, Mizuho GF, Nordea, Royal Bank of Scotland, Santander, Societe Generale, Standard Chartered, State Street, Sumitomo Mitsui FG, UBS, Unicredit Group, Wells Fargo
出典:The No. 1 ‘too big to fail’ bank is… – CNN Money

重要度とは資産総額やその内容から、仮に潰れた場合に金融危機に繋がる危険性のレベルと見なされています。その意味では、悪い順番という訳ではありません

また、資産規模で世界5大銀行の4つを占め、新規制の主要ターゲットと言われている中国4大銀行がレベル1。世界を代表する銀行の1つでスイス1位のUBSもレベル1で、レベル2のクレジットスイスより下にいるなど、必ずしも規模の順でもありません

つまり、上掲レベルの順番は、「世界の金融システムへの影響が大きい」順、つまり、積極的に海外展開をしている規模の大きい銀行を示しています。

Groupe BPCEと、Nordeaは、私は初めて聞いた名前です。何しろ、私がよく知っていた頃は前世紀末で、勤めていたUBSは、ドイツ銀行、JPモルガンと共に、当時世界に3つしかなかったAAAの銀行でした。そのドイツ銀行がBBB+となり、破綻を噂されているのです。

以上を踏まえ、次ページで当該記事の主張を順番に検証します。

Next: それでもドイツ銀行が破綻するとは思えない10の理由

1 2

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―

[月額864円(税込) 毎週月曜日(祝祭日・年末年始を除く)]
ご好評のメルマガ「相場はあなたの夢をかなえる」に、フォローアップで市場の動きを知る ―有料版― が登場。本文は毎週月曜日の寄り付き前。無料のフォローアップは週3,4回、ホットなトピックについて、より忌憚のない本音を語る。「生き残りのディーリング」の著者の相場解説!

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらTwitterでMONEY VOICEをフォロー