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楽天経済圏は2021年に飛躍へ。携帯キャリアとなった楽天、その強さと弱さの秘密=岩田昭男

マネーブリッジ、ポイント投資って何?

話を元に戻すと、楽天経済圏がここまで急拡大した理由、言い換えれば楽天の成功の秘密は、楽天ポイントにあると考えている。

前述したように、ポイントは楽天カードより先に生まれていた。楽天上層部にミセス三木谷とでもいうべき主婦感覚あふれる司令官がいて、雨の日はポイントが何倍になるといったきめ細かなサービスを展開したから、いまの楽天カード、とりもなおさず楽天の隆盛がある。

楽天の場合、カードより先にポイントがあった。これは重要だ。

楽天のすべてのサービスはポイントと結びついている。たとえば、金融サービスに力を入れる楽天では、楽天証券と楽天銀行の口座を紐づけると金利が優遇される。これを「マネーブリッジ」と呼んでいる。楽天銀行の普通預金金利は年率0.02%。メガバンクは0.001%だから通常でも20倍の高金利だが、マネーブリッジに登録すれば0.1%、つまりメガバンクの100倍になる。銀行、証券間の入出金が自動となり資金の移動が簡単になるほか、株、投資信託、債券、FXなどの投資をすればポイントが付く。

楽天銀行の口座を持っていて投資をするユーザーなら、マネーブリッジは利用価値がある。楽天側から見れば、銀行口座を持っている会員に投資を促す、投資に誘導するサービスともいえる。

「楽天ポイント投資」は、たまったポイントを投資信託や株式の購入代金や手数料にあてることができるサービスで、1ポイントが1円に換算される。

セゾンにも同様のサービスがあるが、ポイント投資はシミュレーション的な性格の強いサービスである。実際に株の売買もできるが、本当に投資をしたい人ならポイントなど使わず実際のお金を使って売り買いする。そう考えると投資に興味はあるが迷っている人、そうしたグレーゾーンにいるユーザーたちを楽天証券を使った投資に誘導する窓口・手段と考えればいいだろう。

楽天SPUは“楽天いのち”の人にオススメ

とにかく楽天の根っこにはポイントがある。その集大成といえるのが楽天SPU(スーパーポイントアップ)だ。

楽天カード、楽天証券、楽天モバイル、楽天でんきなどの指定された楽天グループのさまざまなサービスの会員になると、楽天市場のポイントが最大16倍になるというもの。たとえば、楽天証券、楽天トラベルならそれぞれプラス1倍、楽天でんきならプラス0.5倍といった具合だ。

SPUについて先に筆者の考えを言ってしまうと、「やりたい人がやればいい」ということだ。そもそもSPUにこだわること自体があまりよくないと思っている。楽天市場のポイントは、××サービスがある、○○セールがある、△△セールがあるという情報をいちいちチェックして、毎月1回、エントリーする必要がある。このエントリーがちょっと面倒なのだ。毎月早い時期に、何十とあるキャンペーンやサービスにいちいちチェックを入れて利用資格をもらわなければならない。この作業が次第に重荷となってくるのだ。しかし、それは私のような不精者が言うことかもしれない。ポイントに生活のすべてを捧げられる人にとっては、このSPUは誠にありがたい仕組みだとも言える。

ちなみに筆者がよく使うのは「楽天トラベル」。理由は簡単で、他の旅行代理店に比べて価格が安い場合が多いからだ。楽天グループ、楽天経済圏のサービスだからといって、すべて利用する必要はない。自分に合ったものを選んでうまく利用するのが賢いやり方だ。ポイントを集めるのが目的になってしまうと本末転倒だ。

Next: さらに楽天経済圏は拡大する?携帯キャリアになった意味

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