ARRと売上高の違いは?
――ここで、おさらいになりますが、成長段階のSaaSの企業を見るときにARRはポイントになる指標だと思います。ARRと売上高の違いについて、改めて教えてください。
簡単に言いますと、ARRは年換算した継続課金売上です。資料の下に小さく書いてあるように、ARRはだいたい直近のMRRの12倍で計算します。この場合は、2021年6月期の第1四半期(7~9月)の9月末のMRRを12倍したものがこの85.5億円ということになります。
実際の売上と比べると、約4倍程度大きくなります。理由は、ここで出ている売上は四半期の売上であり、ARRは基本的に年換算した継続課金売上だからです。
――では、いわゆるサブスクで定期的に契約されているお客さんの継続課金売上がこのARRに含まれる数字ということですね。
おっしゃる通りです。継続課金以外の売上は、右側の売上高の方には入っていると思いますが、左側のARRには普通は含めません。
ただ、freeeの場合は、おそらく、コンサルティングなどの継続課金ではない売上はあまりないと思いますので、実質的に継続課金以外の売上はほとんどないと思います。継続課金ではない売上が結構多い会社もありますので、そういう場合は売上とARRが結構ずれてくることがあります。
SaaS商品のセールスのKPIは?
――なるほど。ARRを分解したものが有料課金ユーザー企業数とARPUになると思います。ユーザー企業数が+39%になったものの、ARPUの低い個人事業主やスモールセグメントにおいての顧客獲得が好調であったことを背景にARPUの成長が+7.2%と緩やかになっています。例えば、私がfreeeやSaaS企業の営業担当だとすると、このようなSaaSの商品を売っていくためのセールスのKPIは、通常どういったところになるのでしょうか?
なるほど。RisaさんがSaaS企業の営業マンだったとして、何を目標にするかということですね!
――そうです!
最近、SaaS系のプロダクトは、営業チームの作り方が昔と少し変わっており、おそらく3つのプロセスに分けて、それぞれに人を配置していると思います。
1つ目のプロセスが、SDR(セールス・ディベロップメント・リプレゼンタティブ)です。この人たちはとにかくリード(見込み客)をひたすら獲得することが仕事です。
マーケティング的にやる場合もあれば、いわゆる飛び込み営業をする場合もあれば、自社のWebサイトに問い合せをしてくれた人とお話する場合もあります。とにかく、見込み客をひたすら作る、リストを作ることがSDRです。
2つ目のプロセスが、いわゆるアカウント・エグゼクティブです。この人たちはひたすら案件をクローズする、契約書にサインをしてもらうことが仕事です。