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なぜコロナ禍で「食べログ」は「ぐるなび」を追い抜いた?明暗分けたリスク分散と2つの妙策=シバタナオキ

有料加盟店数の推移

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有料加盟店数の推移を見ると、コロナによる外出自粛が開始する以前は、ぐるなびを食べログが追いかける構図でした。徐々に両社の差は縮まり、2019年10〜12月には33店舗だけ食べログがリードしました。

その後、コロナの影響により、2020年1~9月は再びぐるなびの有料加盟店数が食べログを上回りましたが、2020年10-12月で一気に食べログが3,000店以上の差をつけて逆転する形になりました。

2020年10月-12月に食べログの有料加盟店数が急激に伸びた要因としては、食べログによる「キャンペーンプラン」というプロモーションが考えられます。

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具体的には、2020年11月~2021年1月の間の新規契約及び契約プランのグレードアップを対象に、月額固定費が40%(最安プランの場合は20%)割引されるという内容です。

もちろんキャンペーンの効果だけではないかもしれませんが、2020年10-12月の食べログの有料加盟店数急増の一因となっていることは間違いないでしょう。

ARPU(加盟店当たり収益)の推移

続いて、有料加盟店あたりの収益(ARPU)の推移を見てみましょう。

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ARPUについては、実はコロナ前はぐるなびが4万円前後、食べログが3万円前後と両サービスに大きな差がありました。直近2年のARPUの傾向としては、ぐるなびは横ばい、食べログは右肩上がりに伸びていました。

注目すべきは、コロナにより休会対応を行ったことで両サービスのARPUが1万円以下まで下落した後、2020年7-9月以降は食べログのARPUがぐるなびを凌駕している点です。これまで1万円ほどの差があったにも関わらず、サラッと逆転しています。

ぐるなびの有料プランの月額固定料金は「5万円・1万円」の2パターン、一方で食べログの有料プランの月額固定料金は「10万円・5万円・2.5万円・1万円」の4パターンがあり、それぞれこの月額固定料金に対して、ネット予約数に応じた従量課金が発生します。

ぐるなびのARPUが4万円前後から3万円前後に下落しているのは、かなりの数の事業者が5万円プランから1万円プランへと移行した、ということでしょう。

一方で、食べログのARPUがコロナ以前の数字にまで回復しているのは、「月額固定費40%割引のキャンペーン」により、プランのグレードアップを促すことに成功したと捉えることができます。

このキャンペーンでは、例えば、元々2.5万円のプランで契約していた店舗が5万円のプランにグレードアップした場合、月額料金は「5万円 × (1-40%) =3万円」となり、ARPUは上昇します。その他のプランの場合にも、グレードアップすると2倍以上に月額固定費が上昇するため、40%の割引を鑑みてもARPUは若干上昇するように設計されています。

食べログ側としては、プランのグレードアップにより、一部人的工数のかかる作業も増えますが、大きなコストをかけることなくARPUの引き上げに成功していると言えます。

このキャンペーンは2020年11月~2021年1月までの3ヶ月間なので、2021年1〜3月の決算では、キャンペーン終了後にどこまでARPUが上昇してくるのか、注目です。

Next: なぜ食べログはぐるなびよりも早く回復できたのか?

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