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なぜコロナ禍で「食べログ」は「ぐるなび」を追い抜いた?明暗分けたリスク分散と2つの妙策=シバタナオキ

なぜ食べログはぐるなびよりも早く回復できたのか?

以上を踏まえた上で、なぜ食べログはぐるなびよりも、コロナ禍の影響を最小限に抑え、かつ早期に回復できたのかをまとめていきます。

まず第一に、「ユーザー会員」や「広告」といった店舗以外からの収益源が確保できており、収益源のリスク分散ができていた点が挙げられます。

「ユーザー会員」や「広告」による収益は、コロナの影響の最小化に主に寄与しています。2020年4-6月の各セグメントの売上前年同期比を見ると、その傾向が顕著です。

・飲食店販促事業:-79.3%
・ユーザー会員事業:-29.5%
・広告事業:-47.9%

このように、飲食店販促が休会措置等により大きく減収する中、ユーザー会員事業と広告事業は比較的減収率が小さく、全体の成長率の悪化を軽減する役割を果たしました。

次に、なぜ食べログが早期に回復できたのかというと、「有料加盟店数」と「ARPU」の2つのKPIが共に急速に回復したためです。

食べログの売上の大部分を占める飲食店販促事業の売上は、以下のように因数分解できます。

(飲食店販促事業の売上)=(有料加盟店数)×(ARPU)

これを見ても明らかなように、「有料加盟店数」と「ARPU」の双方が成長すれば、売上も自ずと成長します。

そして、この2つのKPIを伸ばす大きな要因となったのが、2020年11月~2021年1月にかけて行われた「月額固定料金40%割引キャンペーン」です。

新規顧客の獲得だけでなく、既存顧客のプランのグレードアップによるARPU向上も同時に達成しており、非常に「巧い」キャンペーンだったと言えるでしょう。

おまけ(1):食べログの今後の戦略

最後に、両社の今後の戦略について見ていきましょう。

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食べログは、食べログサイトの機能拡張と、店内飲食以外(テイクアウト・デリバリー)の領域への提供サービスの拡張の2軸を掲げています。

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2点目の店内飲食以外の領域への拡張については、前回決算のこちらのスライドを見るとわかりやすいでしょう。

「食べログTakeout」ではテイクアウト以外にもデリバリーの実証を開始しています。このあたりがどこまで伸びてくるのかは注目です。

Next: 逆転された「ぐるなび」の今後の戦略は?

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