「働き方改革」で得するのは企業側
働き方改革って、誰のためにあるものなのか…?
「work life balance」という、何となく明るいイメージのある風景は、お金がないと実現することはできません。「お金の余裕」がセットになっていると思いますが、現実としては「非正規雇用」という言葉のイメージは「貧困」という言葉が、ついてまわります。
むしろ、正規雇用でないことで「貧困」から抜け出せないというイメージになっていますが、コロナはさらに、正規雇用であっても「貧困」であるということを意識させました。
そして、重要な点がもう1つあります。
「正規雇用者だと簡単に首を切れないじゃないですか」……ある番組での、竹中平蔵氏のセリフです。
「会社に縛られない」というのは、正規雇用ではない「非正規雇用」になることを意味するようで、それは労働者にとってのメリットなのか、それとも雇用する側の方にメリットが大きいのかろいう「問い」が生まれてしまいます。
生活を充実させるためには非正規雇用の働き方を選ぶ、それが“多様性”を認めることだとしているのですが、なんだか、わかったようなよくわからないような理屈になっています。
これって、雇用者側にすれば「ラッキー」ということですよね。賃金を低く抑え、かつ、いつでも首を斬ることができる従業員が増えるわけですから。
従業員側にすれば、ワークライフバランスによる自由な働き方を実現するために、ある程度の収入減は覚悟しなければならないが、それも仕方がないということになります。
しかし現実としては、コロナによって、労働時間が増えても給料は多い方が良いという、過剰労働是正とは逆のことが起きていると思われます。
「多様な働き方」と「職場待遇」や「給与」は、どうも相容れない関係にあるように思えます。
これは永田町からは、どうしても見えない景色のようです。
選択的週休3日制導入の本音
果たして従業員側から見て、「週3日も休める」と喜ぶ人がどれだけいるのでしょうか?
おそらくは「その分給料が減る」と心配しているのではないでしょうか。
所得減は、家計を直撃します。もともと給与額が少ない若年層は、可処分所得(総支給額から、社会保険料や税金を差し引いた、いわゆる手取り額)は減り、場合によっては、アルバイトをしなければ暮らせなくなるかもしれませんね。
給料が減ってしまっては、生活が成り立たないんじゃないか…。
結局、副業するしかなくなっちゃうよね…。
このような声がSNS上では多いようです。
「選択的週休3日制」を民間企業で先駆けたのは、週休3日・4日制を導入したみずほフィナンシャル・グループです。ただし、みずほフィナンシャル・グループでは、この制度導入とセットで副業を解禁しています。
このことは、企業側からの本音としては、「会社1社では従業員の生活の面倒は見ることができないので、副業を認めるから自分でなんとかして…」というメッセージにもなるのだと思います。
実際、副業を認めるようになった企業が増えてきています。
大手企業の中でも、就業規則を変更して、従業員の副業を積極的に奨励するところも増えてきました。
つまり、従業員に多くの休暇を与えることは、働き方改革の一環を装った「企業側の都合」があるということになるようです。
それは他でもない、毎月の固定費である従業員給与額の削減にあります。つまり「コストカット」です。