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トヨタ「乾いた雑巾」さらに絞って営業利益回復。テスラ・Appleほか他社ブランドの車を製造する可能性も?=シバタナオキ

コロナ禍でも利益率を高水準で維持できる理由

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ーートヨタの決算を見てまず驚いたのが、国内の他の企業と比べてもダントツに高い利益率です。

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ーーちなみにこちらがランキングです。追随するSUBARUと比べても、圧倒的な利益率なのが分かります。

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ーーまた、テスラの同時期決算を見ても、前期は9.2%と驚異的な数字でしたが、今期は5.4%で着地しています。

ーーコロナ禍でもトヨタが安定して高い営業利益率を出せている要因は何なのでしょうか。

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営業利益率が今回7.7%、前年同期比が8.9%で、10%に近い営業利益率が出るのは、自動車メーカーとしてはかなり高い数字です。

理由はいくつかあると思いますが、まず製造業系は大きくなると規模の経済が効いてくるので、利益率が高くなります。つまり、トヨタが世界で一番大きいので、一番利益率が高くなるのです。

そしてトヨタは結構おもしろい会社で、製造系が一番花形のキャリアなのです。製造系で改善できた人が偉くなる会社なんですね。

無駄な在庫を減らす「カンバン方式」とは?

トヨタは歴史が長く、かなり興味深い仕組みが色々あります。 例えば「カンバン方式」という有名なやり方です。

これは、とにかく在庫の無駄を一切持たないという仕組みです。どういう仕組みか、ちょっと一緒に見てみましょう。

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通常、物を作るときは、上の画像のような流れです。前々工程の人が部品を作り、前工程の人に納めます。そして前工程の人がそれを組み立て、また部品にして後工程の人に渡すわけです。

このように、情報が下請けの人から上流の人に押し出されていくのが、基本的な物の流れなのです。とにかく材料があれば物を作って在庫を持つのが基本的な考え方と言えます。

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トヨタのカンバン方式はこれを真逆にしました。なぜ「カンバン」なのかというと、実際にカンバンというのを使うらしいのです。

後工程の人が、部品が足りなくなると、「この部品が無くなったのでください」とカンバンを持って前工程の人の元へ行きます。

前工程の人はその部品を作って、カンバンの上に部品を乗せて後工程の人に持っていくらしいです。

そして前工程の人は、材料が足りなくなると自分のカンバンを持って前々工程の人の元へ行き、「これが無くなったので作ってください」と作ってもらうそうです。

今はもちろんソフトウェアでやっていると思うのですが、昔はカンバンを使って情報をやり取りしていたのです。

つまりカンバン方式をやることで、皆が過剰に在庫を持たなくなります。要は、前工程の人は、後工程の人がカンバンを持ってきてくれないと、物を納められなくなるのです。

もちろん、短い期間の分の在庫は持っているはずです。しかし基本的に、後工程の人に1つ物を納めたら1つ作ればいいので、前工程の人は後工程の人の仕事の状況を見ながら、自分の製造計画を立てられる、というわけです。

このように、情報の流れを真逆にしたのがカンバン方式になります。 製造が花形の会社であるがゆえに、経営資源の使い方や仕組み化がすごいのです。

営業利益率が高いのも、このように無駄な在庫を持たなくしているからなのでしょう。

世界中のビジネススクールなどを見ても、トヨタが編み出した独自の製造の仕組みはケーススタディになるくらい、日本だけではなく世界中で使われています。

そのため、経営努力はボトムアップ、トップダウン両方ですが、きちんとオペレーションレベルでできるのがトヨタの強みなのではないでしょうか。

ーー1個1個の部品の流れから作り方まで、トヨタの地道な努力が最終的に数字に表れている、ということなのですね。

Next: トヨタが他社ブランドの車を製造する可能性はあるか?

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