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安倍政権がひた隠す「年金スキャンダル」 偽りの株高、代償計り知れず=斎藤満

15年度は5兆円前後の赤字に

まず、昨年夏場から世界の市場が不安定になり、GPIFもこの嵐に巻き込まれました。中国上海の株価が急落した上に、人民元を大きく切り下げたことが、世界の市場に不安の連鎖を起こしました。

そこでは、日本も含め世界の株価が下落し、安全資産の円が買われ、円高となりました。その市場不安は、今年初めにもまた世界に広がりました。

そうなると、GPIFの運用を「リスク型」に変えたことが裏目に出ます。株価の下落、円高という状況に対して、運用資産の半分が株で、4割が円高に弱い外貨資産というGPIFの運用構成が、余計損失を大きくすることになったのです。

相場上昇下では儲けが大きい反面、相場が下げれば損も大きくなる「博打型」になり、その付けが回ってきた形です。

皮肉なことに、こうした嵐の中で、「株価押し上げエンジン」が使えないのです。日本株の運用は昨年末ですでに24%近くになり、運用枠の25%に達しつつあるため、ここからは大きく買い上げることができません。外国株や外国債券の買い増し余地もあまりありません。

巨大ファンドの買いで相場を押し上げていたのが、買えなくなると「エンスト」になります。

このため、今年1-3月分も、株価がこの間12%も下落したのですが、GPIFは株価を押し戻すことができず、株で4兆円近い損を出したと見られます。外国株では米国株が堅調だったのですが円高で目減りし、欧州株が下落したので、これも2兆円から3兆円の損となった模様です。

皮肉にも、運用を減らした債券が頑張り、国内債は金利低下、価格上昇で2兆円ほど稼いだようです。

外国債券は金利低下(価格上昇)で利益が出た半面、為替が円高となって利益の多くを打ち消してしまいました。

以上はGPIFの運用が指標平均並みとの前提で計算しましたが、この結果、1-3月の運用成績は4兆円から5兆円の損失となり、15年度全体でも5兆円前後の損失となった可能性があります。

Next: 今後も逆風が続く市場で、国民の年金資産に目減りリスク

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