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安倍政権がひた隠す「年金スキャンダル」 偽りの株高、代償計り知れず=斎藤満

今後も逆風が続く市場で、国民の年金資産に目減りリスク

GPIFへの逆風は昨年だけのものではなさそうです。今後もかなり厳しい運用環境が続き、我々の年金資産は目減りしてゆくリスクがあります。

その主な理由は、日銀や欧州中央銀行(ECB)が、マイナス金利策なども含めて、金融市場を異常な世界にしてしまったためです。

すでに日本やスイスでは10年国債の利回りまでマイナスになり、一般の投資家は買えなくなってしまいました。日本では個人向け国債の発行が取りやめになっています。

マイナス金利の国債に投資するということは、例えば金利ゼロで額面100円の国債を105円で買うようなもので、満期まで持っていると額面の100円しか返ってこないので、5円の損失になります。

それでも機関投資家などのプロがこの国債を買うのは、一段の金利低下で国債の値上がりを期待したり、日銀が高い値段で買ってくれるのをあてにしたりするためで、買った時より高い値段で売れればよいのですが、満期が近づけば、値段は確実に下がり、最後は額面の100になってしまいます。

安全資産のはずの国債が、今や売り場を逃すと確実に損をするリスク資産になりました

言い換えれば、国債そのものが異常な価格に値上がりしていて、いわば「バブル」の状況にあり、その国債を買いにくくなった分、株などほかのリスク商品に投資をしてきたので、株も実体経済とのバランスを超えた「バブル」水準になっています。

つまり、日欧などの中央銀行が異常な金融緩和を続けているため、株も債券もバブルになっている可能性があります。

バフェット基準では株価はすでに「天井」

例えば、日本の東証一部上場の株式時価総額は4月21日時点で528兆円を超え、日本の名目GDPを超えています。米国の著名投資家、ウォーレン・バフェット氏は、株の時価総額がGDPの100%になると、これを「天井」とみて株価の過熱警報と見ます。

現在の日米の株価は、この「天井」に達し、過熱警戒警報が出ているような状況です。

この金融市場にバブルを生じさせている中央銀行の異常な緩和策について、米国がいち早く修正に乗り出しましたが、日欧は依然としてマイナス金利策を強化しようとしています。

そのために、貸出や債券運用で利益を上げられなくなった金融機関が利益を減じ、経営が圧迫されて金融仲介機能が十分果たせなくなりつつあります。

せっかく金融緩和しても、マイナス金利という異常な世界で金融が機能不全になれば、血の巡りが悪くなった身体と同様、経済の体力が弱ってきます。そうなると株も債券も下落し、バブルが弾けやすくなります。バブルが弾ければ、それらを大量に保有するGPIFなどの年金基金はさらに損失を拡大し、年金原資が細ります。

Next: 安倍政権の見栄と短期利益を優先した年金運用は失敗する

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