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中国で即時配送が急拡大「1時間以内のお届け」で何を買っている?日本では広がらぬワケ=牧野武文

「短距離EC時代」がやってくる

京東は即時配送をECの当然の進化と考えているようです。京東のメディア発表会などでは「遠距離EC時代」「近距離EC時代」「短距離EC時代」という言葉がよく使われます。

遠距離EC時代とは、広域大型倉庫に商品を集積し、そこから全国物流ネットワークを使って宅配をするというものです。一般的なECはこの遠距離ECです。配送距離は100kmを超え、配送時間は翌日、翌々日となります。

近距離EC時代とは、都市内に中型倉庫をもち、そこから100km以内の宅配をします。これが京東の211限時達で、当日または翌日配送になります。

短距離EC時代とは、前置倉(都市内に複数ある小型倉庫)や店頭在庫から近隣に宅配するというもので、配送距離は3km程度。配送時間は1時間ほどです。

京東が使う言葉では、「時代」という言葉が使われていることに注意をしてください。これは、京東が、遠距離EC→近距離EC→短距離ECと時代が変化していくと捉えているということです。つまり、京東は、即時配送は、次世代の京東のあるべき姿だと考えているということです。

日本では必要とされていない?

日本にもアマゾンフレッシュという即時配送サービスがあります。また、コンビニやスーパーも短時間での宅配をしてくれるところが増えています。

しかし、多くの人が、あまり強い関心は持っていないのではないでしょうか。いざという時には便利かもしれないけど、普段は必要ないと考えている人が大半でしょう。特にアマゾンフレッシュのサービス地域になっている都市部では、通常のお急ぎ便でも翌日には届くので、わざわざそこまで急ぐ必要性を感じないかもしれません。

しかし、それは、日本の宅配便が優秀で、何度でも不在による再配達をしてくれ、なおかつ宅配ボックスも普及をしたため、宅配便が受け取りやすいということがあります。中国で宅配便を受け取るのはなかなか大変です。再配達の時間指定などもできないことが多く、宅配便を待っていると、外出することもできませんし、シャワーを浴びることもできません。

結局、自分から配送ステーションに取りにいくことも多いのです。行動範囲の広い若者などは、最初から配送ステーション止めを選択して、自分で取りにいくことを基本にしている人もいます。

しかし、即時配送は、注文してから1時間で届くので、待っていられます。すぐに商品を手にしたいというニーズの他、受け取りが楽というニーズもあるのです。

アリババ創業者が提唱「新小売」という考え方

即時配送は、スマホ注文をすると店頭在庫から出荷をして宅配してくれるというもので、店舗ECと呼ばれ方をすることもあります。また、到家サービスと呼ばれることもあります。それぞれに異なる文脈で使われるので、ニュアンスなどの違いはありますが、いずれも本質的には同じサービスを指しています。

このような発想の起点になっているのは、アリババの創業者、馬雲(マー・ユイン、ジャック・マー)が2016年に提唱した新小売(ニューリテール)という考え方です。「オンライン小売とオフライン小売は深く融合していき、すべての小売業は新小売になる」というものです。

これを実現したのがアリババの新小売スーパー「盒馬鮮生」(フーマフレッシュ)で、スマホ注文して30分配送してもらうことも、店頭で購入することもできるというスーパーです。

フーマフレッシュの成長ぶりに危機感を感じた既存スーパーは、即時配送企業と提携して到家サービスを続々と始めました。今、中国の飲食店、小売店で即時配送に対応していないというのは大手チェーンではほぼないと言っても過言ではありません。ジャック・マーの予言通りのことが起きています。

即時配送は、コロナ禍による外出自粛という追い風はあったものの、現在では完全に定着をしています。京東の考えるように、短距離EC時代に移っていくのかもしれません。

Next: どんな人が「即時配送」を利用している?よく買われる商品も

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