消費税率をゼロに!
1990年前後の日本経済は米国を脅かすほどの勢いだった。それでも3%の消費税で減速し、5%になるとマイナス成長となった。このことは、時限的な「消費税5%」などでは、日本経済が救われる見通しはないに等しいということだ。
このままでは日本の財政や社会保障制度は破綻する。それを防ぐには、過去の日本政府が行ったように、政府が民間の資産を巻き上げるしかない(筆者注:第2次大戦中は鍋釜まで拠出させられ、戦後は預金封鎖された)。
とはいえ、民間の資産を巻き上げることは、日本の成長力の最後の砦を潰してしまうことを意味する。そうなると、財政も社会保障制度も立て直しが絶望的となる。日本政府はボロボロだが、力がまだ残っている民間を潰してはならないのだ。
結論としては、日本経済を破壊したのは1989年度以降の税制だ。原因がはっきりしているということは、それを取り除くことで復活できることを強く示唆している。
1988年度から2019年度までに、日本経済は1.41倍(円建て)に、世界は4.42倍(ドル建て)に成長した。仮に、日本が世界の標準並みに成長し、1988年当時の税制でそのまま税収増があったとしたなら、2019年度の税収は(50.8×4.42=)224.5兆円に達していた。これは税制だけで一挙に財政黒字化できることを示唆している。昔のような経済成長も夢ではないかも知れない。
生きるため、事業を行うために必要なものに課税する消費税をゼロにし、利益や所得増に応じて課税することで、経済成長と税収を取り戻すことができる。財政が安定し、社会保障制度が守られるのだ。
では、消費税が高いデンマークやスウェーデンの状況はどうか?また、財政赤字は気にしなくていいとするMMTとは何かなど、皆さんが気になるようなところは私の新著『日本が幸せになれるシステム:65のグラフデータで学ぶ、年金・医療制度の守り方』(刊:Kindle Edition)で詳しく述べている。データのURLも豊富なので、ぜひ、読んで頂きたい。
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2021年7月1日)
※太字はMONEY VOICE編集部による