大嘘になった「低コスト大会」
日本の財政で大きな問題として指摘されるのが、予算は説明・議論をしても、最終的にどう使われたかの決算については国民に明かされないことです。
これまで東日本大震災などに大きな予算を組み、内外から多くの義援金が寄せられましたが、それらのお金がどう使われたのか明かされません。
実際には使われずに自治体のお蔵入りしているものがかなりあると言われています。
今回の五輪に際しては、すでにある施設を利用できるので、資金負担の少ない「低コスト大会」をうたい文句にして招致しました。
ところが、現実にはすでに3兆円以上の金を使い、しかも多くが無観客で行われるため、チケット収入がほとんどありません。想定した収支計算が大きく狂っているはずです。
五輪費用は青天井、収支決算を開示せよ
五輪予算はあってないようなもので、実際には青天井のように使われています。
本来、既存の施設を再利用できると言っていたはずが、ほとんどの競技用に、新たなスタジアムを作り、選手村も作りました。
五輪後にこれら施設がどう使われるのか、資金の回収はどうなるのか、回収できない資金はだれが負担するのか、多くの国民、都民が不安を覚えています。
スポンサー企業も当初の予定が大きく狂っています。ビール会社は大会での酒類販売ができなくなりました。トヨタ自動車は五輪用のコマーシャルを取り止めました。コロナ禍で国民に自粛を求めるなかで、スポンサーも採算よりも会社イメージの棄損を警戒せざるを得なかったと見られます。
企業は個別の決算発表で、市場からその評価を受けますが、国や自治体は、国民、市民に五輪の収支決算の結果を開示し、何にどれだけ使ったのか、細目まで説明する必要があります。
最後は国民・都民・市民が税負担をすることになるので、当然の責務です。
57年前の大会では新幹線、首都高、東京タワーなどが残りましたが、今回残るのは借金と廃墟だけ……とならないことを祈ります。
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- 脱炭素の長期計画では間に合わない温暖化対策(7/19)
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- 需要不足を財政で補填すべき(7/14)
- ワクチン不足対策を急げ(7/12)
- 習近平政権に立ちはだかる4つの難題(7/9)
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- バイデン政権に立ちはだかる米3分断(6/30)
- 中国経済にドル高の追い打ち(6/28)
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- FRBに救われた日銀(6/23)
- コロナ禍の景気明暗、より顕著に(6/21)
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- ドル安の正体は(12/2)
- トランプ台風は去ったのか(11/30)
- 菅政権の外交に「背骨」が見えない(11/27)
- コロナ禍で求められる政策対応(11/25)
- 政府に求められる具体的な感染予防策(11/20)
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- トランプの法廷闘争戦略に逆風(11/16)
- 菅政権成長戦略は危険と隣り合わせ(11/13)
- バイデン勝利が菅政権に示唆するもの(11/11)
- 感染防止は国民任せでよいのか(11/9)
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- 長期金利が示すコロナ対応策の差(11/4)
- 追い詰められた日銀に姿勢変化の兆し(11/2)
- バイデノミクスも悪くない(10/30)
- 4年前とは異なる大統領選の決着と市場の反応(10/28)
- 個人の景況感悪化にどう応えるか(10/26)
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- アフターコロナの見極めが難しい(10/21)
- 中国の「内憂外患」(10/19)
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- 菅政権の限界(10/14)
- トランプが実証したマスクの効果(10/12)
- エネルギー革命が静かに進行(10/9)
- コロナ禍からの回復、3つの特色(10/7)
- 鬼の居ぬ間の地政学リスク(10/5)
- 新型コロナで事実上のMMT(10/2)
- 法廷闘争を目論むトランプ陣営(9/30)
- 密かにドル安策をとり始めたトランプ政権(9/28)
- 米の中東和平がかえって緊張高める(9/25)
- 日銀の物価安定目標は景気の足かせ(9/23)
- 勢いを失ったトランプの選挙戦(9/18)
- 広がるW字型景気リスク(9/16)
- アベノミクス継承政権買いの限界(9/14)
- 7月の家計消費息切れは何を意味するのか(9/11)
- 世界貿易は6月底入れだが(9/9)
- 法人企業統計にみるコロナの明暗(9/7)
- 中国習近平政権に異変か(9/4)
- 「アベノミクス」は何だったのか(9/2)
- 失った時間は永久に取り戻せない(7/31)
- ワクチン開発の政治化リスク(7/29)
- フラット化の中でドル高が修正(7/27)
- 「骨太」の内需拡大策は付け焼刃(7/22)
- 米国のW字型回復を懸念するFRB(7/20)
- 劣勢のトランプ大統領に「ウルトラC」はあるか(7/17)
- ウィズコロナで注目される健康ビジネス(7/15)
- コロナ対策で使った11兆ドルの後始末(7/13)
- 回復の力をそぐ2メートルの壁(7/10)
- 試される人間の知恵(7/8)
- 計算違いした香港中国化の代償(7/6)
- 政治リスクが高まる日米株式市場(7/3)
- 規制と自由、コロナ共生下の経済成果は(7/1)
- 世界貿易にもコロナ・ショック(6/29)
- 転倒した憲法改正解散(6/26)
- 市場の期待と当局の不安がぶつかる米国経済(6/24)
- 狂った朝鮮半島統一シナリオ(6/22)
- 見えてきたコロナ危機の深刻度(6/19)
- 崖っぷちの習近平政権(6/17)
- FRBが作ったドル安株高の流れに待った(6/15)
- 長期金利上昇を意識し始めた主要中銀(6/12)
- コロナで狂った中国の覇権拡大(6/10)
- トランプ「拡大G7」の狙いは(6/8)
- 準備不足の経済再開で大きな代償も(6/5)
- コロナより政権に負担となった黒人差別(6/3)
- 自動車依存経済に警鐘を鳴らしたコロナ(6/1)
- 非効率のビジネスモデル(5/29)
- 再燃した香港での米中戦争リスク(5/27)
- 日本は反グローバル化への対応に遅れ(5/25)
- 日銀の量的質的緩和は行き詰まった(5/22)
- トランプ再選に暗雲(5/20)
- トランプ大統領、ドル高容認発言の真意は(5/18)
- 堤防は弱いところから決壊する(5/15)
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- コロナ大恐慌(3/30)
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- 新型コロナウイルスと世界大戦(3/25)
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- トランプ再選の真の敵はコロナウイルスか(3/6)
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- IMFに指導を受けた日銀(2/17)
- 中国のGDP1ポイント下落のインパクト(2/14)
- 習近平主席の危険な賭け(2/12)
- 政府の「働き方改革」に落とし穴(2/10)
- コロナウイルスは時限爆弾(2/7)
- 鵜呑みにできない政府統計(2/5)
- FRBにレポオペ解除不能危機(2/3)
『マンさんの経済あらかると』(2021年7月26日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。