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中国「未成年はネトゲ週3時間まで」規制で日本市場への進出が加速?『龍が如く』生みの親・名越稔洋氏は中国ゲーム大手NetEaseに移籍寸前

ゲームに対する規制が日に日に強まる中国で、18歳未満の未成年によるネットゲーム利用時間を、学期中は週3時間に制限するという規制が発表されたと、様々なメディアが報じている。

報道によると、中国政府はゲーム依存症を防ぐ措置として、未成年のネットゲーム利用時間を金曜・土曜・日曜の午後8~9時に制限。学校が休みの間は、1日1時間に制限するという。中国ではすでに、ネットゲームの利用時間は平日が90分間、土日祝は3時間までに制限され、深夜の利用は禁止されているが、その規制がさらに厳しくなる形だ。

さらに、未成年者が年齢を偽ることができないように、ユーザーはネットゲーム登録の際に身分証明書が必要になるとのこと。またゲームメーカー側も、規定の時間外のゲームサービス提供の禁止を強いられる。ただ、違反行為に対する処罰は明らかにされていないという。

度重なる規制でゲーム人口減少の恐れも

中国におけるゲーム規制といえば、約1か月ほど前には現地の国営メディアがオンラインゲームを俎上にあげ、「精神的なアヘンだ」と批判する記事を掲載。現地の大手ゲームメーカーであるテンセントが、それに呼応するように「未成年に課されているプレイ時間制限のさらなる短縮化」「12才以下へのゲームプレイ禁止」「ID不正使用の取り締まりの強化」などの対策を行うと、声明を出していたばかりだ。

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その際には、香港市場に上場するテンセントの株価が一時11%近くの下落、さらにの同じくゲーム大手のネットイースも、株価が一時16%の急落という結果に。政府による規制の強化で、中国ゲーム業界の行く末を心配する見方が、株価にそのまま反映される格好となった。

その衝撃が冷めやらぬタイミングで発表された、今回のさらなる規制強化。だが、実は中国国内のモバイルゲームの売上のうち、未成年者による購入の割合は15%未満に過ぎず、今回の未成年者向けの規制強化は、さほど業界に影響を及ぼさないのではといった見方もある。

ただ、先述のテンセントが行った対応のように、政府の意向に沿った認証システムの開発・導入により、ゲームメーカー側の負担が増大しているのは明らか。さらにこのままゲームへの規制が強化されていけば、将来的には中国国内のゲーム人口が減っていくことも、可能性として考えられそうである。

『龍が如く』名越稔洋氏が中国移籍?

このように、ジリ貧ともいえる状況に陥っている中国のゲーム業界だが、その打開のために目を向けているのが、日本も含めた中国国外の市場だ。

実際、2021年上半期に中国製ゲームは海外市場で81億ドルを売り上げ、成長率は前年同期比47%に達したとのこと。また世界のモバイルゲーム市場においては、中国製ゲームがシェア23.4%を占めて世界一となるなど、中国製ゲームの国外輸出がかなり盛んになっている状況である。

さらに、そのような流れにおけるひとつの動きとして挙げられそうなのが、セガに所属するゲームクリエイター・名越稔洋氏が、ネットイースに移籍するのではという。名越氏といえば、『龍が如く』シリーズをはじめとした数々の人気タイトルに携わるいっぽう、とあるプロゲーマーに対して「チーズ牛丼食ってそう」という侮蔑発言を行い、後に謝罪に追い込まれるなど、いろんな意味で最も知名度のある日本の現役ゲームクリエイターだけに、その話の成り行きに大いに注目が集まっているところだ。

そんなネットイースやテンセントだが、豊富な資金力を背景に、日本の中小ゲーム開発会社に相次いで出資を行っているのにくわえ、日本に存在するほぼ全ての上場ゲーム開発会社や、一部の非上場企業にも積極的にアプローチを行うなど、ゲーム人材の取り込みを競い合っているとのこと。まさに青田買いといった様相だが、そこで思い返されるのが、昨今の日本のアニメ業界を取り巻く状況だ。

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ゲームと同様にここ数年で急成長を遂げている中国のアニメ業界だが、作品の輸入に関しては政府による規制もあることから、自前によるハイクオリティなアニメ制作を目指して、その豊富な資金力でもって日本の制作会社を続々と傘下に入れている。

今後はゲーム業界においても同様に、優秀なクリエイターや著名なゲーム会社が、中国資本にどんどん買われていく……そんな流れも今後は大いに考えられそうである。

Next: 「ゲーム業界もそのうち中国に乗っ取られそうで…」

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