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中国「ゲームはアヘン」報道に大きくうなずく日本のソシャゲ“ガチ勢”たち。ガチャ規制の議論が進むか?

中国国営の新華社通信系の新聞が3日、オンラインゲームを俎上にあげ「精神的なアヘンだ」と批判する記事を掲載したことが、国内外で大きな波紋を呼んでいる。

記事では、中国のIT大手・テンセントが配信している大ヒットゲーム『王者栄耀』などを例として挙げ、「オンラインゲームが未成年者に悪影響を及ぼしている」とし、規制の必要性を訴えている。なお同紙はその後、「精神的アヘン」との描写を削除しているようだ。

また、翌日の4日には人民日報にも「未成年者をネットの危険からさらに保護すべき」というネット批判の記事が出ており、そのなかで一部のオンラインゲームに対して「低俗なものや暴力的なものなど、未成年者の身体的・精神的な健康を脅かす要素が含まれている」と指摘しているという。

報道の影響でオンラインゲーム関連株が下落

現地での記事によると、2020年度の国内におけるゲームユーザーの数は6.6億人、さらにゲーム市場全体の売り上げはおよそ6兆円規模と、世界でも有数のゲーム大国となっている中国。

そのいっぽうで、当局は若年層を中心としてゲーム依存が増えることを憂慮しており、今年6月にはユーザーの実名登録制を厳格化し、ゲームには「オンラインゲーム依存防止実名認証システム」の導入が義務化されるなど、強制力の伴うゲーム機性を進めている状況だ。

そんななかでの今回の報道だが、発信元が国営の新華社通信系の新聞ということで、ほぼほぼ当局の意向であるとの受け止めがされており、マーケットではさらなるゲーム規制が実施されるのではという危惧が広がり、オンラインゲーム関連株は下落。3日の香港株式市場では、テンセント株が一時11%近くの下落率となるなど、前日の終値に比べ約6%安。さらに日本の国内でも、任天堂の株価が下げ止まらないなど、少なからず影響が出ているようだ。

今回の記事で槍玉に挙げられる格好となったテンセントだが、報道に即応する格好で声明を発表しており、未成年に課されているプレイ時間制限のさらなる短縮化、12才以下へのゲームプレイ禁止、ID不正使用の取り締まりの強化などの対策を挙げて、今後実施していくことを表明。さらに、12才以下の小学生に対して「ゲーム全面禁止」とすることも検討すべきではとも提言しており、今後大いに議論を呼びそうである。

「ゲームは麻薬」妙に納得する日本のソシャゲファン

ゲームに対する規制といえば、日本では香川県で「ネット・ゲーム依存症対策条例」という、ゲーム時間を平日は1日60分、休日は1日90分までを目安にルールを定めるよう保護者に求める条例が20年に施行。罰則などはないものの、ネット上などからは「基本的人権の侵害だ」と批判の声が巻き上がったことが記憶に新しい。そのことから、今回の報道に対しても「中国の香川化」「ゲームは1日1時間」などと、どことなく楽観的な反応が多いような印象だ。

ただ一部のゲームファンからは、中国のゲーム依存よりもある意味で恐ろしいものが存在するとの声も。これは言うまでもなく、ガチャを伴うソーシャルゲームの類を指しているものと思われる。

今年5月に実施されたとある調査によると、20~30代のうち1万円以上の課金経験者は全体の約4割にのぼり、さらに20代になると4人に1人が1つのソシャゲに5万円以上の課金をしているとのこと。海外ではガチャのことはルートボックスと呼ばれ、ギャンブル性が非常に高いものとして規制を設けている国も存在するなか、日本ではそれがほぼ野放し状態。「ソシャゲ廃人」「課金地獄」といった言葉がSNS上などで日常的に飛び交うところ、ある意味でゲーム規制が続く中国以上にヤバい状態といってもおかしくないかもしれない。

ネット上でも「日本のガチャゲーも相当ヤバい」「ゲートウェイドラッグ的な役割のものまできっちり揃ってるし…」などと、ソシャゲの恐るべき中毒性を訴える声が。日本国内ではあくまで“対岸の火事”といった反応が多い今回の報道だが、「ゲームは麻薬」というワードに対しては、妙に身につまされるといった方はかなり多いようだ。

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