中国の不動産開発大手「恒大集団」が破綻危機にあり、リーマン・ショック級の大問題となる可能性が出てきました。しかし、なぜか金融市場ではあまり話題になっていないことが不思議でなりません。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2021年8月12日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
バイデン政権で中国リスクは落ち着いた?
数年前チャイナショックで元安が進んだ時には、金融市場は大騒ぎで、とくに為替はこの影響を受けて大きくドル円が下落するなどの動きに直面したものです。
またトランプが大統領に就任してからは連日、中国と貿易交渉を巡ってやり合う姿や発言のツイートが登場し、その都度、アルゴリズムが反応して連日相場の乱高下の材料になったものでした。
しかし、バイデン政権になってからは、それなりに中国と渡り合う姿が見られたものの、トランプ政権時代と比べれば圧倒的に情報が少なく、相場もそれにならされるように中国ネタで動くことは極めて少なくなりつつあります。
そんな中で今、中国国内で大問題になろうとしているのが、大手不動産ディベロッパーである「恒大集団」の破綻危機です。
負債総額30兆円を超える超リスク不動産企業
恒大集団は、1996年に設立された企業で、中国の不動産価格の上昇とともに大きく成長してきました。
日本で言うならば往年のダイエーのように、借金をしては不動産投資を行い、中国各地で高層アパートの販売に勤しみ、それで得られた利益をさらに再投資するという典型的な高度成長依存の借金雪だるま型の経営を行ってきた企業といえます。
この手のバブル系企業は、お決まりの多角経営に乗り出すもの。同社の場合もその枠組みを踏襲しており、テーマパークからプロサッカーチーム、ミネラルウォーター、電気自動車開発まで幅広い領域に手をだしています。
しかし、こういったビジネス収益の基本は、借金をして手に入れた不動産価格の上昇に依存しています。
そのため、マンション価格が大幅に下落する中にあっては、資産も収益もがた減りで、株価はすでにピーク時から85%下落、なんの価値もなくなって暴落する仮想通貨のような状況に陥っています。
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