fbpx

宣言解除は形だけ。東京都が独自に「給付金なしで時短要請」へ。法的根拠のない飲食店いじめに批判噴出

このところ取沙汰されていた19都道府県に発令中の「緊急事態宣言」と、8県に適用中の「まん延防止等重点措置」について、菅義偉首相は30日の期限をもって全面解除すると公表した。

28日に行われた衆院議院運営委員会にて明らかにしたもの。全国で新規感染者数が減少し、病床使用率・重症者用病床使用率ともに解除の目安となる50%未満となったことから、「宣言」などの解除が可能だと判断した模様だ。

国としては、宣言解除後の「まん防」への移行も見送る方針。9月末での全面解除となれば、「宣言」や「まん防」が全国のどこにも出ていない状況は4月4日以来、約半年ぶりとなるという。

「給付金なしで自粛要請」都の方針に激怒する声

菅首相としては、自身の首相としての任期が切れるまでに「宣言」などをすべて解除をしたかったのでは、とも噂されている今回の公表。しかし、そのいっぽうで東京都など一部の都道府県は、政府が決めた「宣言」解除、さらに宣言解除後の「まん防」への移行も見送る方針とは相容れない考えのようで、仮に宣言が解除されたとしても、飲食店への時短要請を検討しているという。

具体的に東京都では、営業時間は午後8時まで、酒類は提供できるものの午後7時までという、以前の「まん防」と同レベルの時短要請を検討しているとのことで、「これで本当に解除なのか?」との不満の声が、ネット上からは多く聞こえてくる状況だ。

さらに都は、国が要請を全面解除した場合には独自に時短要請を出したいものの、これ以上協力金を出すのは財政的にも厳しいことから、国にも対応を求めるとのこと。要はこの10月以降、都は明らかに法的根拠のない時短要請をし始める気だが、それに対する給付金は出せるかどうかは微妙だというのだ。

この姿勢には、これまで長きに渡って時短要請に応じて来た飲食業の方々も、流石にカンカンのようで、ネット上には「いつまでゴールポストを動かし続けるのか」「飲食店の皆さん、暴れる番です」との怒りの声が。さらに「一度自由への侵害を許すと、こうして法的根拠もなく当たり前のように私権への侵害を始める」と、自粛要請が出されることの“重み”を行政側がすっかり麻痺させているのでは、といった指摘もあがる。

ほぼ時を同じくして愛知県では、同様に宣言解除後も時短営業を要請するにあたって、大村秀章県知事が感染対策をしている飲食店の営業時間延長のことを「おまけ」と発言し、「バカにしやがって」とその軽すぎる表現を批判されたばかり。大村県知事にしろ小池都知事にしろ、自らの施策が飲食店の生殺与奪を左右することに、ここに来てすっかり無自覚になっているようだ。

効果の疑わしい「時短」一辺倒では今後が思いやられる?

このように東京都を始めとした自治体が事あるごとに出してきた飲食店への「時短要請」だが、ここに来てその効果を疑わしく感じている層は相当増えて来ている印象。ネット上からは「時短営業が感染拡大防止に寄与するっていう理屈がそもそもよくわかんない」「なぜいつまでもこだわるのか」といった素朴な疑問がとともに、「やってる感出すためだけ」とその姿勢を断罪する厳しい声もあがる。

誰しもが未経験である今のコロナ禍という未曾有の状況。以前までは「ワクチンの接種率さえあがれば収束へと向かう」との展望が、多大なる期待も含めて囁かれてきたものの、ワクチン接種のペースが異様に早かったイスラエルでは、今年8月に過去の最悪期をの水準に逆戻りするなど感染が再拡大。さらに人口の8割強が接種済みだというシンガポールでも、最近は感染者が急増していて、3人以上の集まりを禁じるなどの厳しい措置を政府が再び出す事態になっているなど、その“神話”はことごとく崩壊している。

ワクチン接種に関して“周回遅れ”となった日本としては、上記の先達とは同じ轍を踏まないように、今後とも感染拡大防止に向けて科学的根拠に基づいた柔軟な対応が求められるのは言うまでもない。しかしながら、その効果のほども疑わしい「時短」に相も変わらず固執しつづける様を見るに、この先が大いに思いやられる……そう考える向きも多いのではないだろうか。

Next: 「国民の信頼を裏切る行為では?」

1 2
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー