fbpx

格差・成長・財政で「三重苦」の日本はもう沈むのか?どの党も公約に掲げぬ経済復活のカギ=矢口新

格差・成長・財政の「三重苦」は解決できる

私は、格差と成長と財政の「三重苦」の解決策を提案している。

そして、政治に無関心なわけではない証として、日本が置かれた状況を分析し、「三重苦」の原因を特定して、それを排除すれば日本は良くなるとした。

また、意見ではなく、グラフ化されたデータで、事実だけを知るために、問題集も作成した。

今週末の選挙にどう向かうか、その判断の手掛かりとして、新著の問題集の「案内」を以下に引用する。

このままでは「三重苦」は悪化し続ける。選挙で誰にも投票しないことは、結果的にその状態を受け入れることになる。何事も、諦めたらお終いだ。

私自身は、消去法で、入れたくない人から順に外して、残った人に入れるつもりだ。

税制を変えれば財政収支は黒字化する

以下、私の新著『日本が幸せになれるシステム問題集: 日本経済の病巣を明らかにするための57問』(著:矢口新/刊:Kindle Edition)より引用する。

*****

2021年秋、日本に新しい政府と、新しい議会が誕生しました。政治家たちは国民の支持を得ようと、多くの公約を致しました。

とはいえ、そうした政治家たちが理想を語れば語るほど、その政策を資金面で支える財源が必要となります。

日本も多くの国と同じように、コロナ対策の一環として大量の資金を供給しましたが、その原資はやはり借金です。とはいえ、ほとんどの政治家たちは巨額の政府債務を忘れたかのように、財源については触れようとはしません。

また、その資金は苦境の企業にも貸し出されましたが、企業の借金は誰も忘れてはくれず、その資金で業績を回復し、返済せねばなりません。

一方で、財政の立て直しは急務なのですが、財政収支が黒字化する見通しが立たないのです。なぜなら、2011年度から2020年度までの平均税収は年53.4兆円なのに対し、平均歳出は年107兆円だからです。

つまり、この10年間、総税収に匹敵する平均53.6兆円もの財政赤字を毎年出し続けているのです。

統計がある1975年度以降から2020年度までの歳出と税収の差額は総額1417.5兆円の赤字です。2020年度末の国債残高は946.6兆円です。マイナス金利政策やイールドカーブ・コントロール政策で、利払い費は低く抑えられていますが、それでも年間約9兆円あります。

これで、どのようにすれば財政収支が黒字化するのでしょうか?

日本の状況がより深刻なのは、その債務の巨大さだけではありません。そこまで借金しても、経済も企業業績も上向かず、税収も増えないような税制となっていることなのです。

Next: 日本経済が復活するには、1988年以前の税制に戻すしかない

1 2 3
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー