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アベノミクスはなぜ失敗したか? 戦争より先に国民が死にゆく日本=矢口新

消費増税10%で台無しの「機動的な財政政策」

2の財政政策は、経済再建を優先するならば、減税が基本中の基本だ。ところが、消費税率を2014年4月に8%に引き上げ後、経済が明らかに減速しているにも関わらず、2017年4月の10%への再増税の既定路線を変えていない。

つまり、景気拡大策で暴走気味の金融政策を見捨てて、財政政策は景気減速に向けて引き締めの度合いを強めている。

民間に丸投げの「成長戦略」

3の民間投資を喚起する成長戦略は、本来ならば規制緩和を通じて、民間の活力を高めることが重要だ。ところが、政府は企業や民間に数値目標を掲げてお願いするばかりで、政府自身ができる「減税や規制緩和」をやろうとしない。

アベノミクスの「三本の矢」は、それぞれの一本一本が、同じ目標に向けて協力し合っているとは到底思えない。その結果は無残なものだ。日銀による、副作用の激烈な次元を超えた未曽有のリスク・テイクにも関わらず、主たる目的のインフレ率は未だにデフレ環境のままだ。先行きもおぼつかない。

安倍首相も黒田総裁も民間ならば、少なくとも外資系民間企業ならば、とうに首が飛んでいる。

毛利元就は天下を取れなかった。安倍晋三は天下の総理大臣となった。それで、安倍首相は「三本の矢」の教えをないがしろにし始めたのだろうか?

経済再生より憲法改正をとった安倍首相の判断ミス

政治は優先順位だ。アベノミクスが失敗したのは、安倍首相にとっての日本経済の先行きが、最優先課題ではなくなったからだ。では何が経済再生よりも大事なのか?憲法改正だろう。

安全保障と憲法とを経済再生より上に置いたために、「三本の矢」は様々な圧力に対しての譲歩を余儀なくされた。欲が弱みとなったのだ。安倍首相の真意を好意的に推測すれば、そのように見える。

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