ドル円相場の下落要因その1:地政学リスクによる円買い
まず直近の相場で円高リスクとなりやすいのは、何と言ってもウクライナと中国の地政学リスクの問題です。
リアルな戦争・戦闘もさることながら、英米が金融市場レベルで仕掛ける制限や規制と、それに対する報復措置が双方でエスカレートした場合、これまでの想定を超えるリスクが市場に放たれて、中央銀行バブルの崩壊ボタンまで押してしまう可能性がある点には注意すべきです。
この場合、ドル円がどれだけ円高になるかは、実際に起きてみないと誰もわからないというのが正直なところではないでしょうか。
ドル円相場の下落要因その2:米国民主党が円安に激怒する時
これはこのメルマガでは何度も触れていることですが、対円でドル高が一定以上進み、しかも米国の債務の問題が大きくクローズアップされますと、米国という国は必ず日本に対して円の為替水準に難癖をつけてくるのがお決まりのパターンとなっています。
年明け猛烈な円安が進んだ場合、サクラが咲く前に民主党政権から何かクレームが来るのではないかと想定しておりましたが、今のところはそんなことには構っていられないというのが現実の状況の様子。
問題が起きるとすれば、11月中間選挙の3か月前あたりで騒ぎになるかどうかをチェックしたいところです。
とくにドル円が130円などとなれば、実質実効レートは固定相場の360円を超えかねないものがあり、米国のみならず日本政府が制御に入る可能性すら高まることになります。
この場合、どこまで円高が進むかは米国さまの意向次第ということになるのではないでしょうか。
ドル円相場の下落要因その3:日銀が利上げを余儀なくされる時
もうひとつ市場があまり意識していないのが、日銀自身による利上げのリスクです。
すでにJGBの金利は、日銀が完全に制御できているはずなのに、すでにその金利は上昇を始めており、インフレが国内経済でも鮮明になり始めると、黒田総裁は来年3月まで何もしないで逃げ切るつもりでも、そうは問屋が卸さなくなる時が到来する可能性があります。
こうなると、米国の金利とのコントラストに変化が現れる可能性もあり、実質実効金利が実はかなり低い米ドルを売って円を買うという、まさかの光景を目の当たりにすることもありえそうな状況です。
ただ。これも年の前半に早々と示現するとは思えず、後半に向けてのリスクと考えるべきでしょう。