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200円カレー「原価率研究所」が破産。過去には賃金未払いで書類送検も…“庶民の味方”な価格設定も結局は低賃金で働く労働者にしわ寄せか

カレーを200円で提供する店舗を新潟県などに出店していた株式会社原価率研究所が今月1日、千葉地裁から破産手続開始決定を受けたと報じられている。

同社は2015年に設立され、一時は新潟市内に複数の店舗を出店していたようだが、採算的に厳しく、財務内容も脆弱な体質だったようで、今回の結果に至った模様。ちなみに、負債総額は調査中だという。

過去には従業員への賃金の未払いも?

最後まで営業していたとみられる新潟市内に存在した店舗だが、とある口コミサイトでのレビューを見てみると、税込200円で販売されていたという同店のカレーは、具はほとんど無いほどに煮込まれているが、結構本格的な味わいだったという。

またカレーには、唐揚げ・ハンバーグ・メンチカツなどを有料でトッピングすることもでき、それらも100円や150円といった価格帯とのことで、まさに庶民の味方といった店だったようだ。

それだけに一時期は新潟県内だけではなく、首都圏や関西地方にも出店するなど、それなりに勢いがあった原価率研究所。しかし、ほどなく資金繰りの面で苦しくなったようで、2017年末の段階で事業は一時的に停止していた模様。さらに翌2018年には、アルバイトを含む従業員の男女3人に対して賃金の未払いがあったとして、同社とその代表取締役の男性が書類送検されるという出来事も発生している。

その後、会社は他者の手に渡り、一部の店舗では営業が再開されていたようだが、最終的に立て直しには至らなかったようだ。

具なしとはいえ、たった200円でカレーを提供するという、まさにデフレ時代の申し子といった業態だった原価率研究所。しかし、厳しい経営状態だったとはいえ、従業員への賃金未払いもやらかしていたとあれば、スタートから10年もたずの終焉も当然の結果だと言えそうである。

人気アパレルでは“下請けいじめ”が横行

いっぽうこちらも今月1日の話だが、若年層女性向けの比較的リーズナブルなアイテムが人気なアパレルブランド「INGNI」の運営会社が、下請けに対して不当な代金の減額を行っていたとして、公正取引委員会から再発防止などを求める勧告が行われている。

報道によると、もともと同社では店舗で販売する商品に関しては、配送費の一部を下請けである製造会社などに負担させていたとのことだが、店舗への配送が不要なネット通販用の商品に関しても、「物流費」「物流業務委託料」として、下請け業者に支払われるはずの代金から減額していたという。

要は立場の弱い下請けからは文句が来ないことをイイことに、取って付けたような名目で不当に代金を叩いていたという、典型的な“下請けいじめ”なわけだが、その金額は合計で約7,100万円と、かなりの高額となっていたようだ。

同社は減額分の大半を既に返金したと説明しているようだが、SNS上では「こんなの氷山の一角ですよ」と、アパレルに限らずこの手の話はどの業界にも横行しているといった声も。さらに不正がバレて勧告を喰らっても、返還して終わりであれば“やり得”だという声もあがるなど、“下請けいじめ”問題にあまり本腰を入れない公正取引委員会の対応にも、批判の声が相次いでいる状況だ。

【関連】オーケー、花王製品の販売中止から一転「再開検討」で賛否噴出。“毎日がお買い得”は消費者の味方か、それともデフレの元凶か?

先月、様々な媒体にて取沙汰された“花王 vs オーケー”の話題では、「過度なお買い得の追求はデフレの元凶である」という見方があるいっぽうで、「目先のお買い得で助かっている者もいる」といった声などもあり、SNS上などで議論は大いに伯仲した。ただ今回の件をみるに、やはり過度な安売りのしわ寄せは弱いほうにしか行かず、結局のところ発注元から叩かれる下請け業者、あるいは低賃金で働く労働者が泣くことになるのが関の山……といったところだろうか。

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