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習近平にとって誤算だらけのウクライナ侵攻。「ドル覇権」の牙城崩せず、国家主席3期目にも赤信号=斎藤満

中国国内にも不均衡拡大

さらに中国は国内にも大きな問題を抱えています。

習近平指導部は先の全人代で、今年のGDP成長目標を5.5%と定めましたが、李克強首相は、この達成は極めて厳しい状況にあることを認めました。

これは異例のことです。その背景には対外関係の不透明さとは別に、国内に大きな制約が少なくとも2つあるためです。

1つは、ゼロコロナの政府方針が負担になっています。

コロナウイルスの新型変異株オミクロン株の侵入で、中国国内でもオミクロンの市中感染が広がっています。足元では1日に2,000人前後の発症した感染者が出るようになり、無症状の感染者もこれとは別に2,000人近くが検出されています。日本とは異なり、感染排除でゼロコロナを打ち出している手前、これに手を打たざるを得ません。

結局、感染者の出た地域をある期間部分的にロックダウンし、感染の拡大を抑えようとするのですが、その間、企業活動や個人の消費活動は抑制されます。これが広がれば、それだけGDPを抑制することになります。

不動産市場のソフトランディングには経済低迷も止むなし

もう1つが不動産市場の立て直しです。

現在の中国は、日本での80年代後半に近い住宅バブルの様相を呈し、明らかに供給過剰の状態にあります。政府のバブル抑制策などもあって、価格上昇は収まりつつありますが、もろもろの規制もあって住宅開発会社、建設業者は経営に行き詰まるところが多く、中国恒大集団のようにデフォルトの懸念が高まり、株式市場では取引停止となっています。

この住宅市場の不均衡を解消するには長期間を要し、この対応を誤ると、かつての日本のようなバブル崩壊、資産デフレに陥るリスクがあります。

バブルを破裂させないようにするには時間をかけて徐々に不均衡を縮小するしかありませんが、その間、経済は低迷し、業界の事業者は経営に行き詰まり、これが金融機関に不良債権の重しとなりかねません。

Next: 米国の利上げとドル高策が中国経済の重しに

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