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習近平にとって誤算だらけのウクライナ侵攻。「ドル覇権」の牙城崩せず、国家主席3期目にも赤信号=斎藤満

ロシアを利用してウクライナ侵攻を促したのは中国・習近平だという見方が出ています。その真偽はともかく、ウクライナ危機によって米国の外交エネルギーを消耗させ、中国を優位に立たせたいとの思惑は失敗しました。そして対ロシア経済制裁を見て中国も脅威に感じています。これで中国が主導的立場でこの戦争に介入することは不可能となりました。さらには、習近平の永久政権の確立までも微妙なものとなってきています。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

【関連】なぜ中国は覇権国になれないのか。日本を抜き去る「少子高齢化」ほか三重苦で経済発展ストップへ=勝又壽良

※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2022年3月25日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

中国主導シナリオに誤算

中国ではこの秋に、5年に1度の共産党大会が開催されます。ここで習近平主席は異例の3期目を目指し、さらに半永久政権を目指しているといいます。

これに乗じる形で、ユダヤ系国際金融資本が、世界のリーダーの座を米国から中国に移そうと画策しており、米国の外交エネルギーを対中国から分散させるために、ロシアを利用してウクライナ侵攻を促したとの見方があります。

3期目を狙う習近平主席と、中国を利用して新しい世界秩序を構築し、利益を得ようとする国際金融資本は、いわば同床異夢にあることになります。

その真偽のほどはともかく、この中国主導型シナリオには、内外から狂いが生じています。同時に習主席の3期目戦略も、盤石とは言えなくなりました。

ウクライナ危機で求心力が高まったバイデン政権

まず国際金融資本にとっての誤算は、ウクライナ危機で米国の外交エネルギーをロシアに向け、中国集中から切り離す計画でしたが、むしろロシアの悪行に世界が反発を強め、これを抑制しようとするバイデン政権の求心力がむしろ高まっていることです。

政権支持率こそ40%前後に低迷していますが、一般教書演説以降、共和党民主党が反ロシアでまとまりを見せています。

対ロシア、ウクライナ支援でエネルギーを消耗し、中国対策が手薄になると見られていたのが、むしろ逆になりました。

中国にとっても世界の悪者になり果てたロシアのプーチン大統領を支持すれば、ロシアの共犯と見られかねないだけに、中国には大きなリスクとなってきました。

実際、ウクライナ危機の中で、米中外相会議、首脳会談が行われています。米国の外交を分断させる戦略はここまで成功していません。

Next: 「SWIFT排除」の恐怖におののく中国。台湾侵攻の計画も頓挫

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