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中国からも逃げ出した投資マネー。ウクライナ危機後の不動産バブル崩壊「顕在化」で世界経済は混乱の渦へ=澤田聖陽

すでに不動産バブルは崩壊している

中国政府は2020年に不動産会社が守るべき財務指標として「3つのレッドライン」を決めて、財務状況の悪い不動産会社は借り入れが出来なくなるような政策を実施した。

また2021年には不動産業向け融資や住宅ローンに対して、総量規制を導入した。

もともと中国の不動産は投機色が極めて強く、ゴーストタウンのようなマンション群が乱立しているのはご存じのとおりである。

中国のマンションは完成前に青田売りされるのだが、不動産会社の破綻や計画の杜撰さから、建設が途中で止まってしまう事例が多発している。

これらの建設途中で止まってしまい廃墟と化したマンションは「鬼城」と呼ばれている。

そのような杜撰な開発を行う不動産会社に銀行は多くの資金を貸し込んでおり、不動産の価値が下落することで、不動産会社のバランスシートが大きく痛み、それが波及して銀行のバランスシートが大きく棄損する。

日本のバブル崩壊と同じ轍を踏む中国不動産

この流れは1990年以降の日本のバブル崩壊の流れと一緒であり、今後、中国でも日本のバブル崩壊と同じ「バランスシート不況」が必ず訪れる。

違うのは規模で、日本よりも途轍もなく大きな規模のバブルが弾けるということである。

正確に言うと、すでにバブルは弾けており、どのタイミングで顕在化し、中国経済に大きな影響を及ぼすのかという段階になっていると思う。

中国は日本のバブル崩壊事例をよく研究しているので、同じ轍を踏まないという論を見かけるが、間違った論であると思う。

そもそも膨らんでしまったバブルは人為的にコントロールできるものではないのは、世界の歴史を見れば明らかである。日本のバブルもそうだし、米国のリーマンショックも同様である。

全体主義国家であっても、経済を完全にコントロールできるものではない。

たしかにバブルが崩壊する影響の顕在化を遅らせるということまではできても、バブル崩壊自体を無くしてしまうことはできない。

むしろ顕在化を遅らせようとすることが、崩壊した時の悪影響を増大させることとなる。

Next: 「日本のメディアも企業も中国経済に楽観的すぎる」

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