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中国からも逃げ出した投資マネー。ウクライナ危機後の不動産バブル崩壊「顕在化」で世界経済は混乱の渦へ=澤田聖陽

ウクライナ情勢は依然として緊迫しており、西側諸国は中国とも距離を取り始めた。投資マネーがどんどん流出するなか、中国経済はどこへ向かうのだろうか。すでに不動産バブルは弾けており、どのタイミングで顕在化し、中国経済に大きな影響を及ぼすのかという段階になっている。(『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』澤田聖陽)

【関連】2022年の中国経済は「冬の時代」へ。元証券会社社長が分析、世界規模の経済危機を招く虚飾崩壊と習近平“第二文革”に警戒せよ=澤田聖陽

※本記事は有料メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』2022年4月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

※毎月第3木曜日19:30よりまぐまぐ!Live配信予定「『投資に勝つ』ための最新ニュース解説
投資に勝つにはまず第一に情報分析。「投資に勝つ」という視点から日常のニュースをどのように読むべきかを、この記事の著者で、元証券会社社長で現在も投資の現場の最前線にいる澤田聖陽氏が解説します。視聴方法はこちらから。

中国から投資マネーが流出

このところニュースはロシアのウクライナ侵攻(ウクライナ危機)に関するニュースばかりですが、今回はウクライナ危機が中国経済にどのような影響を及ぼすかという点について述べていきたい。

証券投資の分野では、すでに影響が出ている。2022年1~3月の外国人投資家の売り越し額は384億元(約7,400億円)と、四半期ベースで過去最大の規模となったと報じられている。

これは2015年のチャイナショック時、2020年のコロナ禍を上回る規模である。

ウクライナ危機後にロシアの通貨や証券が暴落したことの連想で、同じ権威主義国家である中国が売られたということであろう。

この中国からの投資マネー流出は、一時的なものに終わるだろうか?

崩れはじめた西側諸国と中国の幸せな相互依存関係

西側諸国と中国は、相互依存の関係にある。

西側諸国(特に米国)は、中国の市場開放に伴って多額の資金を中国に投資してきた。そして中国は豊かになり、世界で最も米国債を保有している国となった。

この相互依存の関係に「軋み」が生じている。

その原因は、中国の国力が西側諸国の無視できないものになったことと、習近平主席が改革開放路線の転換を図ったことにある。

2016年頃から西側諸国と中国の「幸せな相互依存関係」は軋み始めていたが、2019年の香港特別行政区での大規模デモへの対応あたりから、この軋みが大きく表面化した。

今回のウクライナ危機は、この「軋み」をより大きくするものとなった。

しかしながら、中国の経済規模はロシアの約10倍であり、西側諸国も投資・生産・販売先の市場として中国と密接に結びついている。

よって、冷戦時代のような中国と西側諸国の完全なデカップリング(分断)が起こるかといえば、それは無いだろうと思う。

しかし地政学的な観点から、西側諸国や企業が徐々に中国依存度を低くしていくという流れは、仮にウクライナ危機が収束した後も変わらないだろう。

また権威主義国家に投資しても、政治的理由で現地での資産は差し押さえられるリスクがあり、有価証券は売却できなくなってしまうような事態が起こり得ることを、ウクライナ危機で投資家は認識してしまった。

この刷り込みがされてしまった後に、以前の状態に完全に戻る(完全にリカップリングする)ことはできないだろう。

おそらく西側諸国と中国は距離感を保ちながら、完全に分断することはなく、一定の経済的な関係は続けていくということになるだろう。西側諸国は以前ほど楽観的に中国に対する投資を増やすという関係には戻らないということである。

なお、中国が強権的な行動(具体的には台湾に対する軍事侵攻)などに出ないという前提での予測である。

Next: 瀕死の中国経済。「台湾侵攻」の可能性は低くなった?

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