海外投資家が「円安」日本をスルー
円安が続くと、海外の投資家が日本への投資を控えるようになります。
投資の鉄則は「強い通貨の国に投資」することです。日本が2%成長を続けても、為替が年に5%円安となれば、為替差損で3%の損失となります。通貨安が予想される国への投資は、為替だけで大きなリスクを抱えることになります。
70年代に変動相場制に移行して以来、日本は長期的に円高傾向にありました。日本に投資すれば、国内での成長に為替の差益も期待でき、投資にメリットがありました。
ところが、安倍政権以来、為替は円安気味となり、海外の投資家は、当初こそ株高期待で日本買いをしましたが、円安が続けば日本投資はリスキーとなります。
海外資本が入らなくなれば、投資の減少が日本経済の足かせとなります。
「通貨安が国益」は間違っている
円安が全体としてプラスなら、大幅通貨安のロシアやトルコ、アルゼンチンはさぞ利益になっているはずですが、現実は通貨安で高インフレとなり、経済危機となっています。アルゼンチンはIMFに資金支援を求めています。1997年のアジア通貨危機でも、アジア諸国は経済危機に陥りました。
自国通貨の価値が下落して購買力が低下することを利益と考えること自体が基本的な過ちで、今のトルコ、ロシア、アルゼンチンを見れば、「通貨安が国益」がいかに間違っているか、誰の目にも明らかのはずです。
現に日本経済も円安の中で経済大国の地位を奪われ、今ではOECD加盟国の中でも下から数えたほうが早い凋落を見ています。
円安の日本は海外からの来訪者には「安い日本」となり、お買い得ですが、価値の下落した円を使う日本人にとっては、購買力の低下で輸入品や海外旅行が高くつき、生活水準が低下します。