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韓国「双竜自動車」に迫る上場廃止。ファンドも逃げ出す“最凶”労組ごと買収できる企業は現れるか?

経営再建中の韓国「双竜自動車」に買収計画が浮上していたが、白紙に戻ったことで上場廃止の危機に瀕している。いったい何があったのか。経営陣の足をひっぱる同社労組の“最凶”ぶりとともに解説したい。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)

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※本記事は有料メルマガ『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2022年4月10日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

「双竜自動車」買収計画が白紙に

それは3月28日のことだ。日経新聞によると、経営再建中の韓国「双竜自動車」の買収に名乗りでていた新興電気自動車(EV)のエジソン・モーターズから、期限内に買収代金の支払いがなかったという。

つまりは。エジソン側が買収資金を確保できなかった。これによって白紙となったということだ。

しかし、買収するといいながら、なぜ代金を用意できなかったのか?

双竜自動車側は、「エジソン側は25日期限の買収代金を支払っておらず、契約に基づいて(買収計画が)自動解除された」と発表している。関係者によると、買収資金を拠出予定だった国内ファンドが撤退したことで、支払期限までに2,743億ウォン(約274億円)を用意できなかったという。

そもそも、この買収計画はかなりおかしい。なぜなら、エジソンは従業員180人体制で商用EVを生産しており、20年の売上高は90億円程度である。対する双竜自動車は、従業員4,550人を抱え、21年売上高は2,400億円規模。まったくもって規模が違うのだ。

しかも、双竜自動車といえば、ストライキで火炎瓶を投げたり、工場に立てこもるなど世界最凶の労働組合を持っている。

だから、インドの大資本マヒンドラ・アンド・マヒンドラ傘下が買収しても、結局は赤字続きで手放したわけだ。

国内ファンドが「関わってはダメだ」と判断してもおかしくはない。

「上場廃止危機」に陥った双竜自動車

買収計画が白紙になったことで、双竜自動車は再び上場廃止の危機となった。「企業存続の不確実性」というもっともな理由からである。

しかも、昨年末基準で資本金が完全に尽きた状態だという。2021年の売上額は2兆4,293億ウォン。半導体不足もあり、前年よりも17.7%減少。もちろん2,929億ウォンの赤字である。

中央日報によると、韓国取引所関係者は「今月末の事業報告書提出期限までに有償増資や資本拡充など資本割れを解消する資料を提出できなければ上場規定により上場廃止理由に該当する」と話している。

実際、そんな打開策があるはずもないので、双竜自動車は売却先が見つからないかぎり、上場廃止は免れないだろう。

Next: どの企業が動く?双竜を救うには日本円で1,000億円もの現金が必要

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