先週半ば、NYダウは1,164ドル安の急落となった。FRBの金融引き締め、ウクライナ戦争、上海のロックダウンなど、多くの懸念材料が重なって大荒れの相場展開となっている。この状況を相場の「当たり屋」たちはどう見ているのだろうか?ソロスとバフェットの見方を紹介したい。(『菅下清廣の”波動からみる未来予測”』菅下清廣)
※本記事は『菅下清廣の”波動からみる未来予測”』2022年5月9日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:菅下清廣(すがした きよひろ)
国際金融コンサルタント、投資家、経済評論家、スガシタパートナーズ株式会社代表取締役、学校法人立命館顧問 近畿大学世界経済研究所客員教授。ウォール街での経験を生かした独自の視点で相場を先読みし、日本と世界経済の未来を次々と的中させてきた「富のスペシャリスト」として名を馳せている。「経済の千里眼」との異名も。著書に『今こそ「お金」の教養を身につけなさい』ほか多数。
天井園にあった米国株式市場
米国株に陰りが見え始めました。NYダウの急落、ナスダック指数も下げて安値を更新。仮想通貨市場も弱く、ビットコイン、イーサリアムなども下げている。
米FRBの金融引き締め策への転換、利上げ。それに、ウクライナ戦争の長期化、中国の上海ロックダウン(都市封鎖)などで、グローバル・マーケットは大荒れの展開となっています。
当分、世界の株式市場は荒模様、波高き相場が続きそうです。
私はメルマガ読者の皆さんには、年初から「米国株式市場は相場の波動から見て、すでに天井圏にある。いつ暴落してもおかしくないので、警戒するように」とメッセージを送っていました。
株安となる3つの条件
以前からお話ししているのですが、株安の3条件というのがあります。
その1. 金融引き締め、利上げ
その2. 増税 規制強化
その3. 国際情勢不安
米国は今まさにこの「株安3条件」が揃っています。だから目前の米国株安に驚きはないです。
私はすでに早くからキャッシュアップして、次の上昇相場に備えています。
下落調整局面に入った米国株が当面、どこで底入れするか?ウクライナ戦争の行方はいかに?などなど、天下の形勢を見極める時です。
「休むも相場」です。
NYのエリートから聞いた投資の金言
さて、はるか昔、私が30代の頃、ニューヨークのメリルリンチ本社で米国国債のディーラーの仕事を研修で経験したことがあります。
今やウォール街の名門メリルリンチの社名は消えてしまったが、当時全米最大手の証券会社で、MLGSI(MERRILL LYNCH GOVERNMENT SECURITIES INC)という国債、政府債取引の専門部署があった。
世界中の中央銀行や主要な金融機関が取引の相手で、取引単位が数千万ドルから数億ドルというビッグマネーが飛び交うオフィスだ。当然ディーラーはエリート集団。
その中に入って、米国国債の取引の実践の研修を受けました。おそらく日本人でも経験した人は少ないでしょう。ディーラーの隣の席に座って取引を聞かせてもらいました。
メリルリンチのディーラーが、「今日は東京からやってきたミスタースガシタが、この取引を聞いているのでよろしく」と言えば、相手は某中央銀行だったが、快諾してくれた。私にとって、若き日のまさに貴重な体験だった。
そのMLGSIで、私の研修期間ボスだった白人のエリートから、「ミスタースガシタ、ここは戦場だ。一瞬の油断や判断ミスで1,000万ドル、2,000万ドルの損失になる。だから、金融、数学の知識、能力がいくら優れていても、危機察知能力や瞬発力がなければ生き残ることはできない」と言われました。