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自動車依存経済で沈む日本。コロナ収束後も「リベンジ消費」が起きない3つの要因=斎藤満

日本経済の低成長はすでに世界の知るところとなりましたが、コロナ禍からの脱却スピードも欧米に比べて日本は緩慢でした。今年1-3月のマイナス成長のあと、日本経済はコロナ規制の解除の中で急反発が期待されましたが、これも予想外の緩慢なものとなりつつあります。日本経済低迷の裏に、これまで過度に自動車に依存してきた付けが回ってきた感があります。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2022年7月8日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

コロナ緩和で消費は反発だが

オミクロン株の感染急拡大で1-3月の個人消費が落ち込み、日本のGDP全体でも1-3月は0.1%、年率0.5%のマイナス成長となりました。

そして感染者数が縮小する中で、政府の自粛要請、イベント規制、入場者規制が次第に緩和され、6月以降はほぼ制限が解除されました。これを受けて飲食店、宿泊業などの対個人向けサービスが回復し、4-6月期は消費が主導する回復が期待されています。

これまでコロナ禍で消費が抑制され、その間にやむなく蓄えられてきた「強制貯蓄」がエコノミストによっては20兆円から50兆円と推計されています。そしてこれまでの我慢が解放され、いわゆる「リベンジ消費」が大規模に発生する、と予想されています。

しかし、コロナ規制緩和下のこの春以降の消費は、回復しているとはいえ、もうひとつ力強さがありません。

その背景に、半導体不足や一部の部品供給の制約から、エアコン、自動車等の値がさ商品が品薄となり、新車に至っては受注から納車まで1年待ち、といった事態もざらと言います。

中でも自動車の生産、販売縮小が日本経済に大きな影響をもたらしています。

米国以上に自動車立国日本

自動車立国と言えば、真っ先に米国、ドイツが思い浮かびますが、日本も負けないほど自動車立国が確立し、長い間自動車依存の経済を続けています。

一般に産業のトップ寿命は10年と言われます。戦後の日本経済を振り返っても、リーディング産業は10年ごとに変わりました。順に繊維業(東レ)、造船(三菱重工業)、鉄鋼(新日鉄)、自動車(トヨタ)と変遷しています。

ところが、自動車がトップに立ってからは、これに代わる次のリーディング産業、トップ企業が出ていません。米国中国ではIT、通信関連がリーダーになりましたが、日本はいまだに自動車がリーダーのままです。

製造業の生産額のうち、自動車が約15%を占めてトップにあり、21年の通関輸出額83兆円のうち、17.3%にあたる14.3兆円が自動車並びにその部品となっています。

この自動車立国日本に、大きな壁が立ちはだかっています。特に次の3つは、自動車立国の座を失いかねない重要な問題です。

Next: 日本が「自動車立国」の座を失いかねない、重要な3つの問題とは?

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