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自動車依存経済で沈む日本。コロナ収束後も「リベンジ消費」が起きない3つの要因=斎藤満

問題その1:グローバル展開が裏目に

まず、日本の自動車メーカーが積極的にグローバル戦略を進めたことが、むしろ裏目に出たことです。

長い間円高を経験し、輸出採算が苦しくなったこともあり、現地生産化を進めました。しかし、安倍政権以降、何十年ぶりという円安が進行して、現地生産の意味が薄れ、むしろ日本で作って輸出したほうが利益になる形になりました。

さらに部品調達もグローバル展開し、国内には極力在庫を持たないスリム化をすすめることで、効率を高め、資金コストを抑えて利益を上げてきました。

ところが、新型コロナ・パンデミックでグローバル経済が機能不全に陥り、特に中国がゼロコロナ策にこだわるため、再三再四、コロナの大規模検査、ロックダウンを科されたことで、半導体以外でも部品調達が滞り、中国での生産工程がストップしたりで、自動車が特に大きな影響を受けました。

自動車の供給制約に伴う生産停止、輸出減少が、日本の景気悪化を促しました。

問題その2:贅沢品になり日本市場が急縮小

自動車の生産、販売縮小の多くは、半導体などの供給制約によると見られているのですが、実は目に見えないところで日本の消費者に自動車離れが進行しています。

それは日本の賃金がこの30年間増加しない中で、自動車価格が上昇し、多くの日本人にとって、自動車はもはや高根の花、ぜいたく品の象徴となりました。

国税庁の「民間給与実態調査」によると、1991年の平均年収は447万円でしたが、2020年の年収は433万円と、むしろ減少しています。

この間も自動車価格は着実に上昇、1991年に購入したトヨタの「カムリ」が約200万円で、これは当時の平均年収の半分以下でした。これに対して昨年新型カムリを購入した人は、約400万円支払っています。これは平均年収をほぼ使い果たす金額です。

しかも30年前はまだ収入がいずれ増えるという期待があったので、借金をして車を購入する人も少なくありませんでした。

ところが、この30年間民間部門の所得は全く増えず、しかも雇用不安も高まる中では、借金して車を買う選択は限りなく縮小します。30年前に車を買えた人と同等の所得環境の人は、今日では年収1,000万円クラスの人ということになります。

自動車の機能、性能は確かによくなり、それを考慮すれば、自動車の価格は実質横ばいと総務省は捉えています。

しかし、機能、性能がいくら向上しても、30年前にレクサスを買える人が限られた程度に、今日の所得条件ではカムリなど普通車の購買層は限られます。

日本国内での需要層が減った分、海外の富裕層(欧米や中国)向けに輸出しないと売れなくなります。

Next: 電気自動車で出遅れた日本。新しい「産業のコメ」が絶対に必要

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