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10代に人気の位置情報共有アプリ、北九州の母娘刺傷事件で悪用か?アプリの危険性を訴える意見に若者は「老害」とSNS上で紛糾

今月13日に北九州市で発生した30代女性とその娘の高校生が刺された事件を巡って、容疑者の10代男性が被害者の住居特定に最近流行の位置情報共有アプリが用いたのではと、大いに取沙汰される事態となっている。

報道によると、母娘は自宅でナイフのようなもので刺されたとみられ、ともに重傷を負っているとのこと。現場は寝室の窓が割られ、玄関の木枠も壊された跡があったといい、さらにナイフのほか犯人のものとみられるスマホや学生証、マイナンバーカードなど複数の遺留品が見つかったという。

いっぽう、その犯行直後には事件現場の最寄り駅であるJR南小倉駅付近で、都内在住の10代男性が列車にはねられ死亡する事件が発生。警察の調べで、先の事件の現場にあった遺留品の持ち主だと分かり、自殺したものとみられている。

刺された女子高校生と自殺した容疑者の10代男性は、SNSを通じて交流があったといい、警察は何らかのトラブルがあったとみて調べている。

若者を中心に人気の位置情報共有アプリとは

被害者女性と容疑者男性とはSNS上のみでの繋がりだったようで、いわゆるストーキングの末の刃傷沙汰といった今回の件。

その容疑者少年だが、女性の住居特定にスマホのGPS機能を利用した位置情報共有アプリを使ったのではないかと、16日以降からワイドショーなどでこぞって報道されたことで、SNS上では当該アプリの是非を巡っての議論が巻き起こっている。

近年、10代の若者を中心に人気を博しているという位置情報共有アプリ。その代表格とされる「Zenly(ゼンリー)」は、同じアプリを入れているメンバー同士で現在位置の共有が常にできるというもので、アプリを通して家族や親しい友人らと常に繋がりを感じられるといったところが、人気の秘訣となっているようだ。

また、友人らの現在地や状況を把握したうえで遊びなどに誘うことができたり、待ち合わせの際に相手の場所がすぐ分かる、またスマホを無くした際に見つけやすいといった、実用的なメリットもあるとのこと。

そのいっぽうで、同じアプリを入れているメンバーに四六時中居場所を把握されるのは嫌だといったユーザー向けに、例えばZenlyだと「ゴーストモード」という機能も存在するようで、それにより位置表示を大まかなものにしたり、あるいは位置表示を以前の情報のまま固定することもできるのだという。

平行線をたどるアプリ否定派と擁護派の主張

このように、何かと「繋がり」たがるとされる昨今の10~20代の若者層からは、あたかもInstagramやTikTokなどのSNSと同じような感覚で利用されている感もあるという、これらの位置情報共有アプリ。

いっぽうでこの手のアプリにあまり馴染みがなかった向きからは「そんなものがあるのか」「気味が悪くないか」といった声が多く聞こえるなど、ここに来てネガティブな反応が多数。さらには「もしお子さんのスマホにこのアプリがあったら危険です」といった危機感を煽る声も一部からはあがる。

https://twitter.com/GDoofSL4HFprtT0/status/1559322487338389504

しかし、そのような意見に対して、日頃から位置情報共有アプリを利用している若者層からは「偏見」「友達いなくて使ったことないから、よく分からないまま批判してる」などといった反発の声があがり、なかにはこの手のアプリを否定する向きを「老害」だと断じる見方もあるなど、話が全く通じ合わないといった状況だ。

https://twitter.com/sora8881119/status/1559358926214561792

つい最近では、TwitterやInstagramへの投稿を手掛かりに名前や住所などを突き止める「SNS特定屋」が話題となったが、特定の相手とより親密になるため、あるいは逆に嫌がらせの意図でもって他人の個人情報を特定したがる、いわゆるネットストーカーと呼ばれるような人間は無数に存在し、その被害も耳にすることも多い。

そういった向きに、この手のアプリを悪用されたならば……と疑心暗鬼となる気持ちは十分理解できるところで、ましてや今回のような事件が起きてしまったのなら、なおさらという話だ。

いっぽうで、主に位置情報共有アプリ擁護派からあがる「あくまで使い手の問題」「使い方を間違わなければ問題ない」という意見も確かに一理はあるのだが、ネットリテラシーが備わったれっきとした大人ならともかく、この手のアプリが浸透しているのが主に10代後半あたりの年端もいかない世代であることから、その親世代からすれば心配は絶えないといったところ。その点は、親御さんがしっかりと把握すべしだといった声もあがるものの、子のスマホをくまなく監視するなど非現実的で、あくまで綺麗事でしかないというのが正直なところだろう。

傷害事件にまで発展した悪用ケースにより、期せずしてその認知度が一躍向上する格好となった位置情報共有アプリだが、今後その是非を巡る平行線の議論がSNS上のみならず、子がいる家庭においても果てしなく続いていくことは避けられないといった情勢だ。

Next: 「一応最低限のプライバシー意識はあるので…」

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