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台湾統一の使命を負う習近平、異例の3期目で武力行使へ。「第2のプーチン」確実=勝又壽良

経済はバブル崩壊で危機へ

次に、肝心の中国経済はこれからどうなるか、だ。中国が、台湾侵攻は可能かどうかのカギを握るのだ。

中国経済を支えてきたのは、不動産主導成長モデルである。土地国有制を利用して、地価を釣り上げて得た土地売却益を地方政府の主要財源にしてきた。平均して歳入の3~4割を土地売却益で賄ってきたのである。この結果、中国の税制には正式に不動産税(固定資産税)が存在しないという、超金持ち優遇税制をつくり出している。

直接税が3割、間接税は7割という、世界でも類例のない大衆課税国家である。中国は、共産主義を一枚看板にしている。本来ならば、大衆課税は低くなければならない。現実は、金持ち優遇税制である。この恩恵を受けているのが、建国当時の共産党古参幹部の子弟だ。いわゆる「紅二代」以下の世代である。

習氏は国家主席1期目に、これら「紅二代」の支持を取り付ける密約を結んでいる。国有企業復活による利益分配を保証したのだ。その際、不動産税を創設しない約束をしたのであろう。習氏が昨年夏、不動産税創設を臭わせたところ、前記の「紅二代」以下の世代から猛烈な反対意見が寄せられている。結局、習氏による権力基盤維持のために、不動産税は日の目を見ることなく先送りされている。

こうして、不動産主導成長モデルが崩れたあと、歳入確保の手段がなくなるという異常事態を迎えている。それだけでない。地方政府が、中央政府の指令によって行なってきたインフラ投資資金を得るため、厖大な「隠れ債務」を抱えていることだ。

具体的には、地方政府の所有するインフラ投資会社である「融資平台」が、債券を発行するなどにより得た資金をインフラ投資へ向けてきた。全国の数千もの地方政府は、中央政府の割り当てるインフラ投資のノルマを達成すべく、多額の「隠れ債務」を抱えている。ゴールドマン・サックス証券の推定によれば、その総額は2020年末時点で、GDPの52%に当たる53兆元(約1,100兆円)に上るというのだ。

不動産バブルの崩壊で、現実の土地売却益が3割も落ち込んでいるなかで、GDP52%もの「過去債務」をどうやって返済するのか。メドは、まったく立っていないのだ。中国の金融市場では、現在の企業デフォルトに続いて、地方政府のデフォルトが多発すると警戒している。中国経済は、こうして絶望的な状況に追い込まれている。

日本の平成バブル崩壊は、民間企業が土地評価の原価主義による厖大な含み益を担保に、銀行から過剰な借り入れに陥った。中国では、民間企業の過剰債務に加えて、地方政府にまで膨大な「隠れ債務」が潜んでいるのである。公的部門までが、過剰債務を抱え込んでいる点で異常である。

日本のバブル崩壊とは、比べものにならない厳しさに目を向けるべきだ。

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