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高級ブランド店「品切れ続出」が日本経済の末期と言える2つの理由。爆買い外国人はもう日本製品を欲しがらない=斎藤満

景気効果は限定的

岸田政権は、円安の「積極活用」と言って、インバウンド消費の活用を掲げています。

しかし、国産品を買ってもらえれば日本の生産増につながりますが、海外ブランド品が売れても、輸入が増えるだけ。国内の所得は、販売店の手数料増くらいで限定的です。

先の宝飾品店では、新たに輸入をすれば、円安でもろに輸入コストが上がり、販売価格を上げざるを得ないと慎重でした。

そしてショウウインドウは空っぽのままでした。これでは日本の消費者が買いたくても買えません。

外国人旅行者の利益もよいですが、日本人の利益、所得増になる方策を打ち出してほしいものです

富裕層の高級品購買意欲

もう1つの需要層は国内の富裕層です。

日本の購買層は大きく二極化しています。IT創業者や、いわゆる富裕層のほか、外貨資産をもって、円安で大きな利益を上げた人、株価上昇で利益を上げた人などは円安をもろともせず、むしろ逆手にとって高級外車や宝飾品の上顧客になっていると言います。

その一方で、平均年収433万円という多くの労働者は、このところの物価高で、さらに購買力を減じ、「中の下」から「下の上」層に転落する人が増えています。

これらの人々は1台700万円のトヨタ・クラウンや欧州ブランドの宝飾品にはなかなか手が届きません。一部の富裕層を対象にした市場と、多くの貧困層向けとに市場が二分しています。

その「ハイエンド」市場が品薄で商機を逸しています。

新しい資本主義に逆行

岸田政権は円安を所与のものとして、それを活用する対策を打ち出していますが、前述のようにそのメリットは主に外国人に偏り、多くの日本人はそのコスト負担に苦しんでいます。

しかも円安が所得分配をゆがめ、資産格差、所得格差を拡大する面があります。外貨資産を持つ富裕層はますます富み、円での生活を主とする多くの国民は生活水準が低下します。

当初「分配あっての成長」と、新しい資本主義のもとでは、これまで格差拡大をもたらした市場原理主義を見直し、所得分配に目を向けるはずでした。

ところが、現実に行っている政策は、逆に所得格差、資産格差を拡大するものです。

若者の自動車離れが業界を脅かしていますが、自動車業界の価格設定と、若い人の所得水準とが乖離して、車を持てなくなっていることに目を向ける必要があります。

Next: 「円安活用」政策でトクするのは外国人ばかり。国民の我慢はもう限界

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