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高級ブランド店「品切れ続出」が日本経済の末期と言える2つの理由。爆買い外国人はもう日本製品を欲しがらない=斎藤満

デパートの高級ブランド品売り場から商品が消えました。インバウンドによる爆買いで、ことごとく在庫払底という状況です。爆買いはコロナ前にもありましたが、以前は品質の良い日本製品や農産物に人気が集まっていました。それが最近では欧米の高級ブランド品が円安と免税で、日本で買うとかなり割安と人気を博しています。(『 マンさんの経済あらかると マンさんの経済あらかると 』斎藤満)

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※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2022年11月28日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

高級ブランド店から商品が消えた

デパートの高級ブランド品売り場から商品が消えました。

と言っても盗難事件ではありません。先日大手デパート本店の時計売り場を訪れた際、店員さんから得た情報です。スイスの高級腕時計R社には、1個100万円超の紳士用腕時計が1つだけ残っていましたが、ほかには何ひとつ商品がありませんでした。

R時計店だけでなく、他の高級ブランド店も、ことごとく在庫払底という状況と言います。

一方で日常品などを扱うほかのフロアでは品物は豊富な一方、客足がまばらという対照的な状況です。歪んだ日本の姿を象徴しています。

供給制約ではない

折しも、半導体不足で自動車の入荷が1年待ちと言い、エアコンや大型家電でも供給制約で品薄になっていると言います。

宝飾品でもこれが起きているのかと思いましたが、どうもそうではなさそうです。物は入ってもすぐに売れてしまい、需要面から品薄になっている面が強いと言います。

特にヨーロッパの有名ブランド品がよく売れていて、すぐに品薄になると言います。まるでバブル時代に逆戻りしたようです。

しかし、国内景気が低迷し、物価高で個人の生活が圧迫されている中で、どうしてバブルのような現象が起きているのか、聞いてみると2つの需要層が浮かんできました。

円安で外国人の爆買い

1つが外国人旅行者の爆買いです。

入国規制が緩和されたことと円安が重なって、外国人旅行者によるブランド品の購入が爆発的に増えています。

円安は輸入品の仕入れ価格を上げますが、過去に仕入れていた分や、値上げ前の商品もあり、欧米の高級ブランド品は自国で買うより、円安のおかげで日本で買うとずっと安く買えて、しかも免税も使えます。

このため宝飾品など欧米のブランド品に特に人気が集まり、すぐに品薄になると言います。

インバウンドによる爆買いはコロナ前にもありましたが、以前は品質の良い日本製品や農産物に人気が集まっていました。

それが最近では欧米の高級ブランド品が円安と免税で、日本で買うとかなり割安と人気を博しています。

日本はまるで外国人旅行者のためにショッピングの場を提供しているようなものです。円安の恩恵を最大限に受けているのは外国人旅行者です。

Next: 庶民はより貧乏に。高級ブランド品が爆買いされても景気効果は限定的

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