fbpx

年金「繰下げ受給」は70歳からが正解。75歳まで待って損する人・得する人の違いとは?=川畑明美

定年から年金支給までの無収入期間を耐えられるか?

もちろん90歳以上まで生きる可能性もありますから、絶対に70歳からの受給がお得とはいえません。ご自身の健康状態や予想される寿命も考慮して、年金受給開始期間を考えるといいでしょう。

ただし65歳以降に働いていない人は、資産を取り崩すことになってしまいます。

繰下げ受給するために、爪に火をともすような生活をするのは、本末転倒です。

年金の繰下げ受給を実現するには、繰下げ待機中の生活資金をどう考えるのかがポイントです。

70歳まで繰下げ受給で損する人も

注意すべきは、ご夫婦の年の差によっては、繰下げ受給がデメリットになってしまうことです。

厚生年金加入者が65歳になったとき、65歳未満の配偶者や18歳になる前の子どもを扶養していると、老齢厚生年金に加給年金という加算がつきます。

配偶者が65歳になるまでの間、子どもは18歳を迎えた年度末まで支給されます。

年金の「家族手当」とも呼ばれていて、扶養家族がいる場合は、通常の老齢厚生年金にプラスして支給されるのです。

ただし条件があり、厚生年金保険の被保険者期間が20年以上あることが条件です。つまり、国民年金のみの自営業の方は対象になりません。

加給年金は老齢厚生年金とセットになっているので、ご自身の繰下げ受給だけに気を取られていると、もらうチャンスを逃してしまいます。

夫婦の4つの年金の受給タイミング

たとえば、妻が5歳年下という場合は、夫が70歳まで老齢厚生年金を繰り下げてしまうと、妻は65歳に到達するので、加給年金を受給することができません。

夫婦の場合は、自分だけの年金での繰下げ計画は失敗のもとになってしまいます。

夫婦ならば「4つの年金」をどう繰下げるのかが、ポイントです。4つの年金とは、下記のこと。

1. 夫の老齢厚生年金
2. 夫の老齢基礎年金
3. 妻の老齢厚生年金
4. 妻の老齢基礎年金

繰下げしつつも加給年金を受給するには、夫は(1)の老齢厚生年金のみを65歳から請求します。

また妻が1966年4月1日以前の生まれの場合、加給年金終了後、妻の老齢基礎年金に振替加算がつく仕組みがあります。この加算は妻が老齢基礎年金を繰下げると、繰下げ待機中は受け取れません。その場合、妻は65歳から老齢基礎年金のみを請求して、老齢厚生年金のみを繰り下げ受給すると良いわけです。

お互いの年齢差を考慮して、どの年金をいつもらうのかをシミュレーションすることが大事です。

ただし振替加算は、年金加入が20歳から義務化になる前の補填する仕組みになります。1966年4月2日以降に生まれた方には支給されません。

【関連】無駄の塊「生命保険」なぜ欧米より3倍も高い?保険会社のボッタクリと偽りの“相互扶助”に気づけ=神岡真司

【関連】天才投資家ジム・ロジャーズは「現金はゴミ」の時代に何を買う?3つの投資先を明言=花輪陽子

【関連】キャッシュレスで詰む高齢者たち。上級国民以外はクレジットカードを作れない…どう対処する?=岩田昭男

image by:beeboys/ Shutterstock.com
1 2

教育貧困にならないために』(2022年11月24日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

無料メルマガ好評配信中

教育貧困にならないために

[無料 ほぼ日刊]
人生で二番目に大きな買い物は、子どもの教育費。教育費を意識して貯蓄していますか?「実はコレだけ必要です」から、「学資保険でまかなえるのか?」「目減りしない資産管理」「我慢しない節約」「ゼロから稼ぐ方法」までを調べて実践したことを紹介しています。教育ローンに頼らず、老後資金も確保できる教育費の貯め方を伝授します。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー