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岸田内閣「年明け解散」に現実味。予算膨張でも景気を支えず、政府に機能不全の危機=斎藤満

予備費・基金が重要の言い訳

これを象徴するような事案が先の補正予算で露呈しました。

補正予算で実弾を28.9兆円用意しましたが、その資金使途を見ると、4.7兆円が「予備費」で、8.9兆円が「基金」に充当されると言います。実に補正予算で用意した資金の47%が、具体的な使途の決まらない予備費、基金に回ると言います。

つまり、補正予算規模を大きくするために、何に使うかもわからないまま規模を拡大したことが露呈しています。

そもそも20年度から22年度当初予算までで、「コロナ予備費」に約20兆円が充てられました。このうち、使われたのは12兆円で、8兆円は使われていません。さらに、使われた12兆円についても、日経新聞が追跡したところ、医療検疫体制向けに4.08兆円、地方創生臨時交付金に3.87兆円が充てられた形ですが、12兆円のうち9割がどう使われたのか、使途が追えなかったと言います。

また使い残しが多いため、このコロナ予備費からガソリン価格補助金に回す話まで出ていました。

もともと補正予算では何にいくら使うかの具体的な予算審議がほとんどなされないまま規模が決まりますが、多額の使い残しがあり、何に使ったのかわからないような状況では、経済支援、コロナ支援の効果も推して知るべしです。

総理は予備費、基金への積み上げが重要と言いますが、あまりにいい加減な財政政策にあきれてものが言えません。

国民の金を政治家のものと勘違い

政府には財政資金は政府の金で、国民から税金を預かっている、という意識がありません。

税金として取ったらもう政府の金だと思っています。それを極端に言えば領収書もいらず、フリーハンド゙で使える官房機密費(年間約12億円)のように使いたい。安倍政権でも「もり・かけ・桜」に象徴された安倍総理の支援者、友人への優先利用が批判されました。

国会で審議せず、政府の裁量で自由に使える「予備費」「基金」はまさに政府にとっての「貯金箱」のようなもので、国民に諮らずに使いたい時に自由に使えるファンドです。

そして「政府支援」という名のもとに、恩着せがましく一部の人々に給付金を支給しますが、これも元々は国民の金で、政治家が自腹を切るものではありません。

少なくとも、今の政権与党の政治家を見ていると、「公僕」として国民に使える意識を持った人は皆無で、政治権力を利して蓄財に励む輩が多すぎます。信用できない政府に140兆円にも上る多くの金を預けるわけには行きません。

Next: 年明けにも総選挙?国民のために汗をかく政府が望まれるが…

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