fbpx

岸田内閣「年明け解散」に現実味。予算膨張でも景気を支えず、政府に機能不全の危機=斎藤満

内閣支持率の低下が止まりません。今月は共同通信の調査で33%、日本経済新聞の調査でも37%と、前月調査からさらに5ポイント前後低下、不支持率はいずれも50%を超えています。岸田内閣からは大臣の「辞任ドミノ」が続き、他の大臣でも何人か「説明責任」を問われています。政権はいよいよ追い詰められ、解散総選挙に出るか、退陣を迫られるか、選択を迫られています。(『 マンさんの経済あらかると マンさんの経済あらかると 』斎藤満)

【関連】夢に終わる韓国「半導体超強大国」戦略。日本から盗めなかったシステム半導体に“世界シェア3%”の壁=勝又壽良

※有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2022年12月2日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

予算膨張でも景気を支えず

政府の機能不全を象徴するものとして、政府予算膨張の一方で、政府支出はGDP(国内総生産)の成長に寄与していないことがあります。国民の税金を大規模に使う割に、景気支援につながっていません。特に直近では政府支出が4四半期連続で実質で前年比マイナスとなっています。

日本の予算は「危機」ごとに水準を高め、その後元に戻らないまま、次の「危機」でまた跳ね上がります。例えば、補正後の一般会計予算の推移を見ると、まず「リーマン危機」を契機に、2009年度予算は100兆円に乗せましたが、その後危機が一巡しても水準は元に戻らず、100兆円予算が続きました。

そして次の「コロナ危機」で予算規模は急膨張しました。

コロナ危機に襲われた2020年度予算は、時短、休業協力金、医療費などで予算が前年度から5割近く拡大して147.6兆円に一気に膨張しました。

しかし、米国のトランプ政権が米国民1人ずつに600ドル、1,200ドル、1,400ドルと重ねて小切手を送ったうえに、手厚い失業給付金上乗せにより、個人消費が急回復したのに対し、日本は主に企業に協力金が支払われるに留まったことから、消費を中心に景気は大きく落ち込みました。

大規模な予算を手当てしながら、経済支援の形にはつながりませんでした。予算は年間50兆円近く増加したのですが、政府支出は20年度に3.0%の増加にとどまり、民間需要は消費を中心に大きく落ち込みました。

支援の先が米国の個人に対して、日本は企業に向けられた違いはありますが水漏れも多く、財政支援の成果は日米で大きな差が出ました。

さらに、日本ではこの大盤振る舞いが既成事実化し、危機が一段落しても予算規模は縮小しませんでした。2021年度予算は補正後で144.6兆円、そして22年度予算は140.1兆円と、水準が切りあがったまま、高止まりしています。

直近の補正予算でも「昨年30兆出したから今年も」、と理由にならない理由で規模だけ膨らみました。

これだけ予算の膨張が続いても、21年度の公的需要はマイナス0.0%で、22年度に入っても直近4四半期の公的需要は実質ですべて前年比マイナスとなっています。

現在の税金だけではとても足りず、将来世代の納税分も先取りして大規模に使ってくれましたが、目に見えた経済効果はあがっていません。

Next: 国民の金を政治家のものと勘違い。予備費・基金が重要の言い訳

1 2 3
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー