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W杯の勝者は『ABEMA』。賭けに勝ったサイバーエージェント株は買いか?長期投資のプロが企業価値と将来性を徹底分析=栫井駿介

業績は順調に推移

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そのサイバーエージェントなんですが、業績非常に好調で売上高が右肩上がりとなっています。
利益率は上がったり下がったりはしているのですが、売り上げの伸びに乗じて利益も増えている。
基本的にはそういう状況です。

インターネット広告事業が柱

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どういった事業を行っているのか。
あまり知られていない方も多いのではないかと思います。

名前は聞くかもしれないですが、あまりBtoCのサービスで表に出てくることは少ない会社だと思います。

何でかというと、インターネット広告事業が収益の柱になっているからです。
いわゆる広告代理店です。

電通が有名ですが、インターネット広告の世界では、サイバーエージェントがトップを走っている。
インターネット広告の代理店というとまず広告枠です。

Googleとか、そういう枠を持っています。
あるいは今、運用型広告というのもあります。

そういうのを

「うちが取り仕切って、あなたの会社がうまく広告を出せるように調整してあげますよ」
「もちろん、その成果は報告いたします」

というような形で行うのが、インターネットの世界での広告代理店です。

だからいわゆる電通みたいなコネでゴリゴリやる広告代理店とは少しイメージが違うかもしれません。

もちろんどちらにも言えるのは、営業力が大事というところ。
サイバーエージェントというと、リクルートとある意味近いところがあるかもしれません。
営業力を磨いて、そういった人たちがいろんな会社に提案を行って、広告代理店としての仕事を取ってくるというのを続けているわけです。

成長を支える事業

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インターネット広告の世界は、まだまだ拡大が続いています。
それに乗って、業績が拡大してきたというところがあります。

営業の社員のモチベーションを高めるのが、藤田晋社長が非常にうまいと言われています。
そもそもモチベーションの高い若い人たちを集めて、彼らに良い大きな仕事をさせて成長させる。

藤田社長としても、21世紀を代表する会社を作ると言っているぐらいですから、やはりそういった人のもとには、モチベーションの高い人たちが集まるのです。

この広告事業っていうのは、かなり手堅いビジネスなのではないかと思います。
正直元手もかからないですし、営業力次第でどんどん伸びる。

しかも市場のパイが広がっている状況ですから、堅調に伸びていく。
ただ一方で人力でやっていく必要がありますから、伸びることは伸びるのですが、急激に伸びるというほどではない。

これは会社として評価できると思うのですが、それだけでは「21世紀を代表する会社になるためには満足できない」といったところはあるかもしれないです。

ウマ娘を産んだゲーム事業

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次に収益源となってきたのがCygamesです。
これもサイバーエージェントが出資して作ったゲーム会社です。

定期的なヒットはあったのですが、特に大きく伸びたのがウマ娘です。
まさに大ヒット。

実際に業績に対する貢献は大変大きくて、2021年ウマ娘が一番ヒットした期間の営業利益は964億円です。
1,000億円近い利益を生んでいる。

地道に伸ばしてきたインターネット広告事業の利益が244億円ですから、もはやこれより大きな利益を生んでいる。
さすがにその爆発的なヒットから反動減というのもありますが、それでも前期2022年度には605億円の利益を生んだ。

ボラティリティが高いゲーム事業

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ただ、このゲーム事業の特徴としては、ボラティリティが大きいのです。
ボラティリティっていうと業績の変動です。

今のウマ娘に代表されるように、ヒットが出たか、出ていないかで、業績が非常にブレるのです。
ヒットに恵まれないと、ずっと苦しいみたいな状態にもなりますし、新しいゲームを作るための開発費というのはどんどんかさんでいきます。
ヒットが出ないまま開発費だけがかさんでいって、場合によっては、ほとんど利益出ない・赤字みたいな状況も考えられる。

何より安定しないというのは、成長する企業にとっては、ときにはお荷物にもなりかねない。

Next: 仕込み中のメディア事業に注目。先行投資で年100〜200億円の赤字だが…

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