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W杯の勝者は『ABEMA』。賭けに勝ったサイバーエージェント株は買いか?長期投資のプロが企業価値と将来性を徹底分析=栫井駿介

群雄割拠の動画配信サービス

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動画配信サービスは競争がすごく激しい。

あちこち動画配信サービスをやっています。
有料サービスの会員数(日本国内)で見ますと、

  • Amazonプライム:2,090万人
  • Netflix:680万人
  • Hulu:260万人
  • AMEBAプレミアム:90万人

Amazonが圧倒的で、私も実際に考えてみたら、Amazonプライム。
これは当然配送とセットというところになるのですが、Amazonプライムに入っています。

Huluにも入ってます。
これは子供向けチャンネルが非常に充実している。
アンパンマンが用意されているので、非常に助かっているというところはあります。

ABEMAプレミアムは、月1000円ぐらいです。
お金を払ってABEMAの過去の放送を見るとかするためには、プレミアムに入らないといけません。
それがまだ90万人ということで、必ずしも多くない。

競争という観点で見ると、むしろかなり下位に沈んでいる。

しかしABEMAは、それだけではないのです。
無料の動画配信チャンネルとしても、認識されていると思います。

有料無料ひっくるめたサービスは何があるの?と考えますと、利用率のランキング。

  • 1位:Amazonプライム
  • 2位:TVer
  • 3位:Netflix
  • 4位:GYAO!

この辺は無料です。

  • 5位:Hulu
  • 6位:ABEMA
  • 7位:DAZN

当然無料という話になると、YouTubeがここのランキングには出てきていないのですが、当然一番多いというところになります。
またテレビも大きなライバルになります。
今回のワールドカップの中継、ABEMAで見た人かなりいたということなんですが、当然それ以上にテレビを見ている人たちがいるわけです。

そしてTverがまさにライバルです。
テレビと同じものをVerで流しているわけですから、ネットの利便性というのを、もはや取り込んでしまっているところがあるわけです。

NHKもNHKプラスで、ネットで流している。
ネットだからOKという時代でもなくなってしまっている。

それに対して利用率4.9%ですから、まだ必ずしも高くない。

今回スポーツというところに振ったんですが、スポーツの強力なライバルとしてはDAZN。
有料サービスに関しても、やはりABEMAプレミアムの上をいっているわけです。

やっぱりサッカー好きな人って欧州サッカー含めて、ずっと流しているようなところがあります。
ゆえに「これはやはり強い」というところがあります。

このように状況としては、決して楽観視できない。
むしろ苦しい状況が続いている。

一方でうまくやっているのは、ギャンブル。

そういったものをこれからどんどん出していくのか?
あくまで広告にこだわるのか?
お金を払ってでも見たいというようなコンテンツを今後増やしていくのか?

その方向性は、まだ定まりきってないのではないかと思います。
いろいろまだ試している段階に見えます。

ABEMAの現在地

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サイバーエージェントに長期投資できるか?
そういった観点で見てみましょう。

<認知度は向上、しかし収益化は「茨の道」>

今申し上げました通り、ワールドカップで認知度は間違いなく向上した。
それは一つの価値であったと見えます。

ただ、すでに200億円も払っています。
ワールドカップを出したからといって、それだけで200億円回収するのは多分無理。
というか絶対無理です。

ゆえに収益化は、なお「茨の道」ということなってきます。

<YouTube以上テレビ未満>

そして位置づけとしては(ある程度私の感覚が入ってくるのですが)YouTube以上テレビ未満。

ある程度しっかりと番組構成をしつつ、今回のケースで言うと、本田さんをちゃんと呼んできた。
途中ではあのイニエスタも出ていました。
そういったところから、しっかりした人も呼んでいる。

またバラエティーも、YouTuberがやるのではなくて、千鳥とか、しっかりとした芸人さんがMCをやる番組を流しています。

<地上波では流せないコアな内容>

一方で、地上波では流せない、流しにくいもの。
今どんどんコンプライアンスが厳しくなっていますから、そのグレーゾーン的なところを流す。
これはABEMAの今の立ち位置としては、面白いのではないか。

ギャンブル系・競馬という話もありましたし、今回の本田さんの解説。
もちろんこれは(地上波で)流せないということはありません。
ただかなり自由度は高かったように感じるので、地上波だといろいろストップがかかってしまうようなこともあるかもしれません。

それから私も最近見ましたが、アンジャッシュの渡部氏。
いろいろありましたけれども、このABEMAで復帰を果たしているわけです。
テレビには出ないけど、一定のニーズはある。
千鳥がかなり面白おかしくいじってました。

こういうコアな内容から、何とか突破口を開こうというところです。
今回のワールドカップの中継は、その突破口の一つではあったのかなと思います。

<広告モデルは厳しい?>

私の感覚で言いますと、広告モデルはかなり厳しいという気がしています。

広告モデルで成り立っていくためには、多くの人、多くのマスを取り込まないといけないところがあります。
このマスを取り込むには、地上波と同じように、やはりコンプライアンスを重視しなければならない。

そうやっていくと、オリジナリティのあるコンテンツは流せなくなってしまうという矛盾にたどり着いてしまうわけです。
そういったことから、やはり茨の道ではないかというところに逆戻りしてくるわけです。

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