暗号資産で破産者続出!
織田:今回、私の知り合いの中にも、破産した方が少なからずいらっしゃいます。要は、自分の資産を全部暗号資産に注ぎ込んでいた人たちです。
もともと取引所とは、暗号資産や法定通貨を交換する場所です。取引所は銀行ではなく、従って資金を保管する場所でもないということを忘れてはいけません。
ネットで常に世界と繋がっている場所に資産を置いておくことの危険性を、今一度ご理解いただきたいと思います。暗号資産を自身のポートフォリオに組み込むのであれば、
・暗号資産投資は、資産の1割程度に抑えておくこと
・普段の管理は、ネットから切り離されたコールドウォレットで行うこと
最低限、この2つを実行すべきです。
俣野:適切な運用を心がければ、暗号資産もポートフォリオに組み入れることは可能、ということですね。
※参考文献:Impress Watch(2022年11月22日), FinTech Journal(2022年11月23日), THE WALL STREET JOURNAL(2022年12月14日)ほか
FTXは、ただの取引所ではなかった
俣野:気になるのが、暗号資産の今後についてですが。
織田:FTX事件をキッカケに、ビットコインやイーサリアムなど暗号資産の価格が大幅な下落となっています。
そもそもFTXの破綻は会社運営の失敗であり、暗号資産の価値とは何ら関係ありません。しかしFTXの失墜が、人々の暗号資産業界全体に対する不信感へと繋がってしまったわけです。
今回の暗号資産の価格崩壊は、長期化する可能性があります。一体、回復までどれくらいの時間がかかるのは、正直わかりません。少なくとも数年はかかるでしょう。
先ほど述べたように、FTXは暗号資産に信託保全のスキームを取り入れたことで、安全性をアピールしていました。これによって、多くの業者がFTXの取引所を利用していました。
単なる暗号資産交換所としてだけでなく、レンディング(暗号資産貸出)の一時預け先としてや、業者間取引の信託口座としても使われていたことなどが、被害を拡大させる要因になったのです。
昨今の暗号資産の値上がりは、法人の参入が増えていたことも一因です。つまり、逃げてしまった法人が戻ってこない限り、暗号資産の価格は値下がり前の水準には戻らないのではないかと思います。
俣野:失った信頼は、簡単には取り戻せそうにありませんね。