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韓国、貿易赤字500億ドル目前で倒産ラッシュへ。強い労組と年功序列制が韓国企業を蝕んでいる=勝又壽良

2割は非生産的な限界企業

内部留保が薄ければ、金融機関からの借入れに頼らざるを得なくなる。韓国の全国経済人連帯会議(全経連)の報告書「OECD国家限界企業比率分析(2021年)」によると、2021年の韓国の限界企業の比率は18.5%と、OECD(経済協力開発機構)加盟25カ国の平均(15.2%)より3.3ポイントも高かった。韓国は、OECD加盟国の中で6番目に高い値だ。

限界企業にドミノ崩壊が生じる場合、金融機関の不良債権になって、韓国経済全体を揺さぶることになる。

限界企業とは、営業利益で利子も返済できない状況(インタレスト・カバレッジ・レシオ1未満)が3年以上続いている企業をいう。この「幽霊企業」が、韓国で2割近くも存在するのは、韓国経済の生産性を著しく引き下げる「お荷物」だ。

本来ならば、こうした非生産的企業を整理し、その労働力は生産性の高い企業へ移動させるべきである。韓国の硬直化した労働市場が、これを阻んでいるのだ。なんとも矛楯した話だが、どうにもならないのである。

限界企業の比率が、最も低いのは日本で3.2%である。韓国は、日本と比較して5.8倍にも達している。日本は「ゼロ金利」であるから支払利子が低いはずである。ただ、業績の悪い企業には貸倒れリスクを折り込んだ貸付金利になっているであろう。こういう条件を勘案しても、日本企業の限界企業比率は、それなりに内部留保を擁している結果と見られる。韓国企業の状況とは、大きく異なっていると判断できるのだ。

高い自営業者比率の問題点は

韓国の暗い話は未だ続く。全国経済人連帯連合会は12月、全国のレストラン業や卸小売業などの自営業者500人を対象に「自営業者の2022年実績および2023年展望 アンケート調査」を行なった。その結果、自営業者の4割が、「今後3年内に廃業を考慮している」と答えた。

廃業を考慮する主な理由は、次のようなものである。

1)営業実績の持続的な悪化:26.4%
2)景気回復展望が不透明:16.1%
3)資金事情の悪化および借入償還負担:15.1%

韓国の自営業者比率は約24.64%(2019年)で、OECD加盟国で最も高い水準である。この裏には、深い意味を持っている。韓国は、何でも「一番」であることを自慢するが、これだけは自慢できない「一番」であろう。それは、労働市場が流動化されていない結果、企業務めを辞めると再就職の機会が乏しいので、自営業に転じるほかないという苦渋の選択結果である。会社勤めと自営業を比べて、どちらが経済的に楽であるか。

言うまでもなく、会社勤めであろう。限られた労働時間、月給の他に賞与の支給、有給休暇など「労働者」の権利は守られている。だが、自営業では一転して経営者兼労働者になる。労働者としての権利はないゆえに、上記のごとく自営業者の4割が、「今後3年内に廃業を考慮している」という切羽詰まった状況に置かれるのであろう。

日本の自営業者比率は、9.93%(2020年)である。順位は29位だ。米国は6.32%(2020年:35位)である。自営業者比率が低いのは、雇用労働者が多いことを意味している。労働市場が、流動化されているので転職自由な結果である。

こうした、日米の自営業者比率と比較して浮かび上がる韓国の自営業者像は、廃業を考慮する主な理由の中に示されている。すなわち、ビジネスとして将来性がないことだ。それは、韓国の人口高齢化が急スピードで進んでいることと関係する。

Next: 日本を上回る速度で高齢化/強硬労組が韓国を潰す危険性

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