fbpx

韓国、貿易赤字500億ドル目前で倒産ラッシュへ。強い労組と年功序列制が韓国企業を蝕んでいる=勝又壽良

日本を上回る速度で高齢化

韓国は、2025年に人口全体に占める65歳以上の割合が20.6%に達し、「超高齢社会」を迎える。高齢化の速度は、日本を上回るスピードで進んでいるのだ。

超高齢社会における自営業は、どういう位置づけになるか。

高齢者自身は、身体的能力の低下で外出を渋ることになろう。そうなれば、気楽に街で買い物をしたり、旅行する機会は減る。これは、自営業者にとってビジネスチャンスの喪失になる。

まさに、危機の到来を意味する。韓国の自営業者が、将来に危機感を抱くのは当然だ。

強硬労組が韓国を潰す危険性

今回のアンケート調査を行なった全経連では、「自営業者の困難が長期化すれば、庶民経済全体が不安定になることから、細かく行き届いた政策的支援につながらなければならない」としている(『中央日報』12月12日付)。

この見方は、正しいであろうか。私は再考を要すると見る。韓国の自営業者比率が、なぜOECDで1番かという点についての「原因究明」をしていないからだ。

雇用者所得と個人業主所得を比較した場合、前者は安定しているが後者は不安定である。こういう性格の違いを認識すれば、雇用者所得比率を増やして個人業主所得比率を下げる。これが政策目標になるはずだ。となれば、労働市場の流動化が不可欠になる。安定して働きたい人は、年齢や性別に関係なく企業に雇用されることが理想的である。韓国は、こういう理想的な労働市場になっていないことが最大の問題だ。

それを阻んでいるのが、年功序列賃金制と終身雇用制である。

この制度は、もともと日本で生まれたものだ。第一次世界大戦後の好景気で、大企業が熟練工を確保するための「労働者囲い込み」が契機である。ブルーカラーに適用された年功序列制が、第二次大戦後の日本では、ホワイトカラーにも適用されて、労働市場を著しく硬直化させた。日本は、この反省に立って2000年代以降、年功序列制と終身雇用制が是正され始めている。

韓国は逆である。「貴族労組」が金科玉条として左派政権下で強固な制度として組み込んでしまったのである。これが、韓国経済を脆弱化させている背景だ。

韓国ユン政権は、労働改革案を未来労働市場研究会(未来研)へ依頼した。未来研は12月、現在の年功序列制から職務級制への賃金体制の転換や、硬直した週52時間制の柔軟化を主な柱とする勧告案を提出した。具体的には、少子高齢化社会や第4次産業革命時代に対応するために、現行の工場時代に合わせられた労働関連制度は、大きく見直さなければならないという提案である。

この是正案に、韓国左派がどう反応するかである。

Next: 労働改革は進むか?韓国経済に柔軟性が求められている

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー