ビットコインを中心とした暗号通貨は下落している。その最大の原因はダウなどの株式の低迷だが、それだけではない。ビットコイン独自の原因もある。2023年の相場はどうなるか?クジラの動きと合わせて展望を紹介したい。(『 ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン 』高島康司)
※本記事は『ヤスの第四次産業革命とブロックチェーン』2023年1月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
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米国株と連動して下落したビットコイン
ビットコインを中心とする暗号通貨は12月30日に下落した。数週間にわたって220万円台を記録していたビットコインだったが、216万円まで下落している。これは2.10%のマイナスである。1月2日現在は少し値を戻しているものの、217万円台と低迷している。
この低迷は、世界の取引所におけるビットコインの流入量(買い)と流出量(売り)のバランスを見てもはっきりしている。
<先週>
・流出割合:49.46%
・流入割合:46.34%
・予想価格:1万6,584ドル~1万7,053ドル(約223万円~230万円)
<今週>
・流出割合:51.27%
・流入割合:44.94%
・予想価格:1万6,355ドル~1万6,756ドル(約215万円~221万円)
これにあるように、流出量の割合が51.27%と先週より大きくなっている。この状況から予想できる相場の水準は現在の価格帯とほぼ合致しているので、これから215万円台までは下落する可能性がある。
12月30日のビットコインを中心とした暗号通貨の下落を主導したのは、ダウの下落である。12月30日、ダウは過去5日間で0.56%下落した。またナスダックも同程度下落した。現在でもビットコインの相場はダウやナスダックと連動しているので、株式の下落に引っ張られる形でビットコインも一緒に下落したのだ。
ビットコイン低迷の要因に「マイニング産業」の不振
しかし、それだけではない。相場の低迷と下落には、ビットコイン独自の原因もある。それは、マイニング産業の極めて厳しい状況である。
マイニング産業の苦境は、ビットコインの相場が低迷しマイナーの利益が下落しているところに、ロシア軍によるウクライナ進攻による対ロシア制裁の発動でエネルギー価格が高騰したことによる。マイニング産業は高機能の専用コンピューターを24時間休みなく稼働させるので、膨大な電力を消費する。これが、相場の低迷で利益率が下落しているマイニング産業を直撃したのだ。
ビットコインの相場は引き続き低迷しているので、この状況に大きな変化はない。その結果、資金繰りに苦しんだマイニング企業は、2022年に採掘したすべてのコインをほぼすべて売り払ったようなのだ。これがビットコインの相場の低迷にさらに拍車をかける結果になった。
ブロックチェーン調査会社「Messari」のアナリストは12月26日のツイートでデータを共有し、「Core Scientific」「Riot」「Bitfarms」「Crees Park」「Marathon」「Hut8」「HIVE」「Iris Energy」「Argo」「Bit Digital」などの大手マイニング企業が2022年1月1日から11月30日までに採掘した4万700BTCのうち、約4万300を売却したと指摘した。
2022年後半、特に11月中は、暗号通貨の産業全体が「FTX」の破綻の影響に巻き込まれたため、マイニング企業が保有する準備金はかなり減少した。そのため「Core Scientific」などの大手マイニング企業は、継続的な運営資金を供給するために、損失覚悟で準備金の一部として保有しているビットコインの販売を余儀なくされたのだ。