バイデン大統領のリーダーシップに限界
米国の分断回避を訴えるバイデン大統領自身のリーダーシップが問われています。
敵対するトランプ前大統領を、FBIが機密文書の持ち出しを突き付け、トランプ氏の力をそぐのに成功しました。これでバイデン大統領の影響力向上を期待したのですが、今度はバイデン大統領自身が、かつて副大統領時代に機密文書を持ち出した嫌疑をかけられています。
しかも、副大統領の立場、権力を利用して、息子のハンター・バイデン氏ともどもウクライナでの便宜を得ていた疑惑があり、共和党の中にはこの疑惑を暴いてバイデン大統領の足を引っ張ろうとする勢力がいます。
この秘密保持に協力しているウクライナのゼレンスキー大統領を守るために、バイデン政権は軍備・経済支援を進めていますが、共和党内にはこれに反対の声があります。
秘密文書がハンター・バイデン氏も含めた親子の疑惑を露呈するようなら、バイデン氏の立場は弱くなり、共和党支配の下院から弾劾提訴を受けるリスクもあります。24年の再選キャンペーンどころではなくなります。
権力の一極安定を阻止し、混乱を引き起こしたい勢力がバイデン大統領の影響力を削ぎにかかっている可能性があります。
世界の“行司”になれない米国
世界の大国である米国が分断され、今後分割されるか分断の中でリーダーシップが削がれるか、いずれにしても世界で起きる紛争の“行司“役がいなくなります。
ウクライナ戦争でNATO、欧州が揺さぶられる中で、米国のリーダーシップまで低下すれば、ウクライナ紛争が長期化し、泥沼化する懸念があります。
軍産複合体には利益となっても、ウクライナが新たなアフガニスタン化し、混乱、荒廃の地が増えるだけです。すでに国連が機能不全を露呈しているだけに、世界は無秩序状態に向かいます。欧米の影響力が低下する中で、ロシアや中国の「専制国家」がより大きな力をもつことは何としても避けたいところです。
米国のリーダーシップが低下するなら、西側が協力してこれをカバーする必要があります。