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小池都知事が進める明治神宮外苑“樹木3000本伐採”とカネ儲け再開発の出来レース。なぜ明治神宮まで加担するのか?=鈴木傾城

「明治神宮外苑とは何か?」をよく考える必要がある

東京都民だけでなく、日本人はもう一度「明治神宮外苑とは何か?」をよく考える必要がある。

明治神宮外苑は四季折々の自然を楽しむことができる東京のオアシスであると共に、東京都が誇る歴史的記念碑でもある。

歴史は古い。明治天皇が崩御されたのは明治45年であるが、日本国民の間からは明治天皇を記念する施設を作るべきだという声が方々から上がった。そして多くの寄付がなされ、その結果として国費で内苑が作られ、日本国民の寄付で外苑が作られることになった。

この杜には、そうした「歴史」があるのだ。

明治神宮外苑の樹木は寄付と献木によって造営された

外苑の造営にあたっては全国各地から多くの青年奉仕団が自発的に集まって勤労に勤しみ、樹木もまた多くの国民から献木された。

造営の竣工を見たのが大正15年だが、以後この地域は日本初の風致地区に指定され、百年近く国民の憩いの場所として守られてきた。まさに日本を代表する文化的景観である。その景観の美しさは海外でもよく知られており、開かれた庭園として世界的にも親しまれてきたのだった。

特にイチョウ並木は世界的にも有名で、東京で最も美しい街路樹として名を轟かす。ユネスコの諮問機関イコモス(国際記念物遺跡会議)もまたこれを「国際社会に誇る公共性・公益性の高い文化的資産」「近代日本を代表する珠玉の名作」と呼んでいる。

ところが、この「珠玉の名作」は、金が儲かることだけしか考えていない政治家・事業者にはまったくどうでもいいようだ。景観がどうなろうと関係ないし、樹木を3,000本以上も伐採することの意味も分かっていない。ただ「儲け」なのだ。

明治神宮外苑の樹木は、先人が明治天皇を記念すべく寄付と献木によって造営されたという重みを彼らは感じることもない。だから、再開発によって一気に破壊する。

なぜ宗教法人明治神宮まで再開発に加担?どう見ても出来レース

市民が少なからず衝撃を受けたのは、この再開発に宗教法人明治神宮も絡んでいたことである。

本来であれば明治神宮が先頭に立って外苑の歴史と自然を守護すべきであったが、自然破壊を懸念される都市計画提案に宗教法人明治神宮が開発側に立っている。

それは、三井不動産という企業の中で24年にも渡って権力者として君臨している岩沙弘道氏(三井不動産株式会社代表取締役会長)が、実は明治神宮総代を務めて影響力を行使していることに理由があるのではないか。また、東京都知事小池百合子も、明治神宮総代に就任していたことに理由があるのではないか。

再開発を計画した人間と承諾する人間が宗教法人明治神宮の内部にいるのであれば、これは最初から出来レースで動いているのではないかと思われても仕方がない。

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