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アシロ、全事業の堅調な成長により1Q売上収益は前年同月比41.5%増 6四半期連続で過去最高を更新

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2023年3月17日に行われた、株式会社アシロ個人投資家・機関投資家合同IRセミナーの内容を書き起こしでお伝えします。

個人投資家・機関投資家合同IRセミナー

中山博登氏(以下、中山):本日はお忙しい中、決算発表会にご参加いただき誠にありがとうございます。

2023年10月期第1四半期の決算説明に入る前に、まずは自社株買いについてご説明します。インサイダー等の関係もあり、弊社は1月末に第1四半期を閉じてから本日(2023年3月17日)の決算発表までを沈黙期間に設定しています。そのため、自社株を買わないようにしており、決算発表終了後に自社株買いを再開する予定です。

「自社株買いが終了してしまったのではないか」と心配される方もいらっしゃると思い、事前にご報告しました。M&Aや業績報告、投資に関しては決算説明資料をもとにご説明します。

事業内容

中山:2022年は上場してから初めての通期の1年であったため、事業内容について詳細にご説明しましたが、事業内容等は、過去の決算発表の動画をご覧いただければと思いますので、今回は割愛させていただきます。

ただし、今期中に完了させたいとお伝えしていたリーガルメディアの「ベンナビ」のブランド統一について1点補足説明があります。スライドには「Renewal」と記載していますが、これまでリーガルメディアで「離婚弁護士ナビ」「〇〇弁護士ナビ」と呼んでいたサービス名称について、第1弾として「IT弁護士ナビ」を「ベンナビIT」に変更しました。

第2四半期終了時点までに、すべてのリーガルメディアを「ベンナビ×事件名」に統一して「ベンナビ」ブランドを浸透させるための準備を進めていきたいと思います。こちらが前期の第4四半期時点と大きく変わった点です。

23年10月期1Q(22年11月‐23年1月)決算サマリー

中山:決算サマリーについてご説明します。売上収益はスライドに記載の表のとおりです。前年同期比で41.5パーセント増と順調に成長を続けています。

投資については後ほどどのような投資を行ったかご説明しますが、段階的に進めており、第1四半期は積極的に投資を行っていません。そのため、営業利益は7,900万円となりました。

従業員数は60名で、前年同期比で見ると増えています。第2四半期には、新卒社員が入社するため、人員数は大幅に増加していく計画です。

23年10月期1Q事業別サマリー

中山:事業別の業績についてご説明します。事業ごとに見ていくと、リーガルメディアは、積極的に投資を行わなかったため、営業利益がしっかりと出ている状況です。

派生メディアは、コンテンツの開発や新規領域の開発等の投資を進めているため、営業利益が前年同期比で若干の減益となりました。結果としては増収減益です。HR事業および保険事業は、積極的に投資を進めているため赤字が拡大しています。

全社に関しては、移転等を行ったため賃料が増加しています。また、人件費・採用費についても投資を進めているため全社コストが前期と比べて増加しています。一方で、大規模な投資が見込まれるリーガルメディアは、第1四半期段階では赤字になるレベルまでは投資を行っていません。

23年10月期1Q予算進捗

中山:予算の進捗率についてご説明します。以前の資料をご覧いただいてもおわかりいただけると思いますが、弊社の主要事業はストックモデルのため、下期にかけて収益性が上がる傾向があります。HR事業および派生の転職領域に関して、3月と4月はかなり人が動くタイミングですので、毎期第2四半期の数字は比較的上がりやすくなっています。

第1四半期の売上収益は、約28億円の通期予算に対して6億8,700万円、進捗率24パーセントと、順調に滑り出せたと感じています。早々に通期予算の達成をご報告できればと考えています。

売上収益(事業別 四半期推移)

中山:スライドのグラフは、四半期単位の売上収益の増加率を示しています。前年同期比41.5パーセント増となり、最低目標の成長率130パーセントを上回るかたちで成長しており、収益に関しては順調と考えています。

(参考)月次ストック収益(月次推移)

中山:リーガルメディアの事業進捗および成長が順調であり、ストック収益のMRRが約1億3,300万円、ARRが約16億円となっており、かなりの安定収益になっています。

このように安定収益の基盤を作りながらも、成長投資を続けていきます。安定した土台の上に、成長できる事業を乗せて、成長率を落とさない準備が整っているとご理解いただければと思います。

営業利益(四半期推移)

中山:営業利益についてのご報告です。スライド左側のグラフが決算上の営業利益です。2022年10月期第1四半期が1億4,300万円だったのに対し、今期の第1四半期が7,900万円と、半分近く減益しています。

しかし、派生メディアやHR事業、保険事業、全社等への成長投資を除くと、第1四半期の営業利益は1億7,400万円となります。通常の事業運営において、「コストが上がって利益が出しにくい体質になっているのではないか」というご懸念があるかもしれませんが、そのようなことはありません。

投資を進めた結果として減益になっているだけであり、通常コストが上がっているわけではないため、ご安心いただければと思います。

(参考)事業別営業利益(四半期推移)

中山:事業別営業利益に関しては、全体の営業利益とご報告する内容は大きく変わりません。

コスト構造(四半期推移)

中山:コスト構造についてご説明します。コストは上がってきています。スライド右側のグラフのとおり、通期で6億8,400万円を投資に使う予定であり、第1四半期では、9,500万円を投資に使いました。

今期の投資の特徴は、予算6億8,400万円のうち、3億5,800万円を広告費に使用することです。広告投資等を進める予定で予算を組んでいますが、ご覧のとおり、まだ第1四半期は積極的な広告投資は開始していません。

リーガルメディアやHR事業等において、第2四半期中に「ベンナビ」ブランドの統一を完了させ、第3四半期、第4四半期にかけて、マス広告も含めた大規模投資を行っていく想定です。

23年10月期 1Q事業ハイライト

中山:事業ハイライトをご紹介します。リーガルメディアは、解約率が低水準となり、掲載枠数や顧客数をしっかりと増やしました。第2四半期以降は「ベンナビ」ブランドに順次移行させます。現在は「IT弁護士ナビ」のみ「ベンナビIT」に切り替わっています。

派生メディアの「キャリズム」は、新型コロナウイルス感染症がようやく落ち着いたと実感できたところで、徐々に領域を広げています。これまで扱ってこなかった求人領域にも手を広げて成長を続けている状況です。

また、プラスアルファで新規メディアの立ち上げにも投資を進めています。成長率が下がらないよう、既存の「キャリズム」を成長させながら投資も進めています。

HR事業は、コンサルタントの採用活動が進まないと数字につながりません。まずは採用を進めて人員を充足させることでの体制作りを進めています。登録者は確保できている状況のため、計画どおり成長していると思います。ぜひご期待いただければと思います。

保険事業は、体制作りの途中ですが、徐々に完了しつつあります。体制を作り終えてからになりますが、顧客獲得に向けて準備を進めている状況です。

主要KPI(掲載枠数/顧客数)

中山:主要KPIについては、資料でご確認いただければと思います。

株式会社ビッコレの買収に関して①(企業概要)

中山:冒頭でお話ししたM&Aに関して、株式会社ビッコレのM&Aについてリリースを出しました。誤解を生みやすいモデルに見えなくもないため、その点についてご説明したいと思います。

株式会社ビッコレの買収に関して②(ビジネスモデル)

中山:ビッコレの事業内容をご説明します。主要事業は「ビッコレ」というポイントサイトです。いろいろなサイトに登録したり、サービスを活用したりすることで、ユーザーに独自のポイントを付与する、ポイントサイトとしてよくあるモデルとなっています。

サイトの中に、「証券口座を開いてみませんか?」「FX口座を開いてみませんか?」「暗号資産取引所の口座を開設してみませんか?」といったコンテンツがあります。そのような会社のサービスにユーザーが登録すると、ビッコレに成果報酬として広告収入が入り、ユーザーにはポイントが付与されます。ユーザーの登録から収益化までの流れはスライド右側から順にご覧ください。

通常のポイントサイトでは、ユーザーにポイントが付与されると、「日本円でいくら」というかたちで実際のお金に切り替えると思いますが、「ビッコレ」では「ビットコイン」に交換可能なポイントを付与する特徴があります。ポイ活にも仮想通貨にも興味がある方向けのサービスとなっている点が、他社のポイントサイトと大きく違います。

「ビットコイン」等の仮想通貨をビッコレが一定レベル保有して、ユーザーに付与しているのかというと、そうではなく、ビッコレ自体は「ビットコイン」を一切保有していません。

ユーザーが実際にポイントを「ビットコイン」に切り替えたいと申請したタイミングで、ビッコレが取引所から「ビットコイン」を仕入れて付与します。

申請があった時点でポイントを切り替えて、仮想通貨を付与するという流れになっているため、ビッコレが仮想通貨を保有することはありません。あくまでポイントの付与や還元方法として「ビットコイン」を使っているだけであり、仮想通貨のリスクは一切受けないという点が特徴であり、ご理解いただきたいところであります。

株式会社ビッコレの買収に関して③(取引概要)

中山:取得価額は、普通株式が3億円、仲介手数料等が2,400万円で取得しました。ビッコレは1期目であるため、前期の財務数値はありません。半期時点の売上収益が2億円、営業利益が約7,000万円となっています。

我々のようなインターネットメディアを運営している会社がM&Aを行う際に、大きなリスクとして検討しなくてはならないのが、ユーザーの獲得方法です。

ビッコレは、広告を主体としてユーザーを獲得しており、SEOや自然検索に偏った収益体制になっていません。そのため、SEOリスクが低いという特徴があります。

一方で、弊社はSEO、オーガニック検索での施策、マーケティングのノウハウを持っています。そのため、双方にとって、しっかりシナジーを発揮できると考えています。

M&Aが完了した後は、我々のマーケティングノウハウを使って、ビッコレのほうでも、これまで手掛けていなかったマーケティングチャネルでの成長を促せると思っています。

ビッコレはM&A以前から、確かな収益力を持っており、このまま通期が順調に進捗すれば営業利益は1億4,000万円ほど出せる会社ですので、M&Aによってよりよい事業シナジーを出していきたいと考えています。

2023年10月期第1四半期の決算発表および補足説明は以上です。この後、質疑応答に入りますが、本日は時間を多く取っています。

私は普段、「Yahoo!ファイナンス」の掲示板等を見ないようにしていますが、決算発表当日に限っては、みなさまの反応を確認するために見てしまいます。今回の決算に関しては、ネガティブな感想を抱かれた投資家の方もいらっしゃるようです。

しかし、私としては、当社の業績には一切ネガティブな要素は見当たらないと考えており、疑念を完全に払拭できると思っています。すべて確実に回答できるため、ネガティブなご意見も含めて、どのようなご質問でもいただけたら幸いです。

質疑応答:自社株買いの予定について

分林里佳氏(以下、分林):「2月に自社株買いが実施されなかったようですが、もう買わないということでしょうか?」というご質問です。

中山:弊社は第1四半期を1月末に閉じており、その期末時点から決算発表の本日までを沈黙期間としています。この期間中は、基本的に自社株買いを行いません。

この期間が明ければ、また自社株買いを進める予定です。3億円分の自社株買いを行うと発表していましたが、1月末の段階では、まだ2億円分ほどしか実施できていません。この決算発表を終えてから、週明け以降に再開する見込みです。

質疑応答:配当方針について

分林:「御社はグロース市場の企業なのに、配当を出しています。御社の配当方針を教えてください。また、増配の予定はありますか?」というご質問です。

中山:前期から配当を出しており、それにあわせて前期の決算でもご報告しましたが、基本的に株主還元と成長を両立させ、株主価値を最大化させていく考えです。

弊社はグロース市場の会社ですが、毎年可能な限り、剰余金の配当を実施していく目標を掲げています。今期は、前期の営業利益4億8,000万円ほどから、当期純利益を出し、そこから配当性向30パーセントの水準で配当を出しました。

今期の通期予想では、売上収益は28億円、弊社は営業利益率20パーセントを下回ったことが基本的にないため、投資しなかった自然体での営業利益率を20パーセントと仮定すると営業利益は5億6,000万円ほどとなる見込みです。そこから配当性向30パーセントの水準で、配当を出す方針です。

弊社は、業績が悪くなったわけではなく、計画的に投資を進めているだけで、業績は伸びているという認識です。財務体質も健全な状況であるため、配当を出すべきだと考えており、配当性向30パーセントで配当を継続して実施する方針です。

現在は基本的に配当していく予定ですが、今後例えば、さらに赤字に踏み込んで、「もっと投資を進めていく」というような状況があれば、その都度ご説明します。もし配当を止める、または減らすことになる場合は、ご理解いただけるようにご説明した上で対応します。しかし、基本的に配当は継続して実施していく考えです。

質疑応答:M&Aの理由と狙いについて

分林:「あまりシナジーがなさそうに思えるM&Aの理由と、狙いを教えてください」というご質問です。

中山:弊社は法律領域だけで事業を展開していく方針は持っていません。これまで我々が培ってきたものには、法律領域でのアセットもありますが、それ以上にマーケティングのアセットがあります。マーケティングのノウハウをアセットとして蓄積していると自負しています。

このマーケティングのノウハウというアセットを活用し、今後十分に伸びていく市場であれば、積極的に参入していきたいと考えています。

法律領域でのビジネスを着実に伸ばしながらも、そこにとらわれず、成長可能性のあるマーケットには積極的に事業進出していき、マーケティングを土台とした事業創造会社であり続けたいと考えています。

今回のM&Aのケースも、我々のSEOといったマーケティングのノウハウが、ビッコレの事業にも活用できるため、十分シナジーはあると判断しています。

質疑応答:採用の進捗について

分林:「人材の採用の進捗を教えてください。今期の従業員数はどの程度にする予定ですか? 特に中途採用はどこも厳しいと聞きますが、現在の手ごたえを教えてください」というご質問です。

中山:前期と比べると採用予算をかなり増やし、投資を進めている中で、人材の獲得については比較的順調に進んでいます。第1四半期は、前期の第4四半期と比べてそこまで増えていないように見えますが、4月には新卒社員が入社し、中途の社員に関しても、現在順調に採用が進んでいます。

オフィスを移転した当初は、2年くらいは今のオフィスで十分事業運営できると思っていましたが、そろそろ増床等を検討しなければいけないほどで、人材がまったく採用できていないということはありません。

質疑応答:広告戦略について

分林:「ネット広告に依存した集客ですと、『Google』のアルゴリズム変更によるリスクが高いと感じています。今後はどのようなメディアで広告を実施し、集客を行う予定ですか?」というご質問です。

中山:投資部分の広告運用に関して、どのようなチャネルを活用するのかと言いますと、2つあると思っています。

まず、「Google」などの検索エンジンのネット広告では、中心となるのは、基本的に検索キーワードと言われるものです。例えば「弁護士 杉並区」と検索した時に、広告がきちんと出るように、そのキーワードに対して広告を出稿していくことがメインとなります。

一方、例えばみなさまが「YouTube」の動画をご覧になる際、5秒から15秒ほどの広告をたくさんご覧になっていると思います。仮にあの動画広告の部分に、「ベンナビ」ブランドを統一した後、弊社の広告を掲載したとします。するとみなさまが「『YouTube』見たいな」「早くこの『YouTube』のコンテンツ見たいな」と思っていても、アシロの広告を目にし続けるという状況になります。

その他、動画広告以外にも、テレビのCM等も含め、どのようなチャネルで広告を行えば一番投資効果がよいのか、戦略についてはしっかりと検討していますが、メインとしては動画広告の活用を主なチャネルとして考えています。インターネット配信なのかオフラインでの展開なのかは別にしても動画を使っていくことで、これまではキーワード検索がメインだった戦略から、動画広告がメインの戦略になると思っています。

続いて、ご質問で言及された「Google」のアルゴリズム変更がリスクになる可能性について回答します。広告領域に関しては、もともとアルゴリズム変更の影響を受けない領域です。

先ほどの例で「弁護士 杉並」とキーワードを検索すると、検索結果画面の上部に、広告を出稿している弁護士や、我々のような事業者が出てきます。その下部に、スポンサー表示のない検索結果が表示されます。ここが、広告の領域ではない、自然検索あるいはSEOと言われる部分です。

広告領域に関しては「Google」のアルゴリズム変更の影響を受けないのですが、この自然検索あるいはSEOなどの領域においては、当然リスクを受ける可能性があります。そしてこれは他社も同様にリスクを受ける部分です。

そこで、弊社としては、リスクを減らすために、SEO領域だけに偏らないようにマーケティングチャネルを新たに広げ、SEO領域においても対策を十分に図っています。

このように広告とSEOの両軸で考え、チャネルを分散させることで、リスクも分散させられるよう双方で対策を進めている状況です。

質疑応答:今回のM&Aによる広告投資費用への影響について

分林:「M&Aで3億円もの投資資金を使いましたが、予定していた広告投資に支障が出ないのでしょうか?」というご質問です。

中山:結論から言いますと、全く問題ありません。前期末段階では、現金が約18億円、借入金が約5億円で、差し引くと、13億円ほどのネットキャッシュがありました。

今回、広告投資を実施するとご説明していますが、赤字にするのではなく、弊社の年間のキャッシュフロー内におけるプラスの状態で投資を進める方針です。この現金の18億円やネットキャッシュの13億円が、減るわけではなく、増える速度がやや遅くなるイメージです。

財務上、健全性は全く損なわれていない状況です。3億円をM&Aに活用したところで財務が脆弱になるといったことは一切ありませんのでご安心ください。むしろご期待いただければと思っています。

質疑応答:投資家が魅力を感じる施策について

分林:「投資家から人気のある御社だと思いますが、株価に割安性を感じられないので躊躇してしまいます。投資家が魅力を感じる施策を、現在考えていますか?」というご質問です。

中山:具体的な施策や事業内容については、インサイダー等の懸念もあるため、お話しできませんが、私個人および、経営陣全体としては、株価は圧倒的に安いと感じています。そうでなければ自社株買いは行いません。自信を持って、買っていただいて問題ないと思います。

お伝えできる範囲では、例えば我々の売上収益は、上場時点では15億円ほどで、前期では22億円、今期は28億円の予想です。上場時点で15億円しか売上収益がなく営業利益も3億円台の会社でしたが、逆に株価は今の1.6倍から1.7倍ほどありました。

つまり、売上収益は上場時点と比較して約2倍になっており、これに対して株価は、上場時点の約2分の1近くまで落ちてきているという状況です。したがって、実態として株価は上場時点の4分の1くらいまで下がっているという見方もでき、現在の株価は非常に安いと言えます。

PERで見ると100倍近く出ているため、株価が非常に割高に感じられるかもしれませんが、これは投資を進めていることが影響しています。自然体のベースで見ると、前期以上に収益が上がってきているため、非常に割安な状況が続いていると考えています。もっとご期待いただけるよう、事業内容も随時ご報告できればと思っています。

質疑応答:法律事務所の経営状態について

分林:「法律事務所の経営状態について、過払い金問題も一服し、以前より厳しくなっていると個人的には思うのですが、現状や環境はいかがでしょうか?」というご質問です。

中山:行政機関等が日本国内で起こっている法律相談数の統計を出しており、それを見ると2010年前後に債務整理と過払いの事件が急激に増えたことがわかります。しかし、不思議なことに、債務整理前、債務整理後に関しては、比較的同程度の件数が続いている状況で、法律相談件数自体は減っていません。

一方で事務所数や弁護士数は増えているため、競争環境は厳しくなっています。そのため、「なかなか経営が安定しない」という事務所はあると感じています。

しかし弊社は、そのような事務所の経営を安定させるための支援をしており、経営環境が不安定になればなるほど、我々のニーズは高まってくると思っています。

質疑応答:中長期のビジョンについて

分林:「10年後、20年後のアシロの姿はどのようになっていますか? 何年先まで成長するビジョンを考えていますか? 目標とする規模を教えてください」というご質問です。

中山:我々は前期に、中期経営計画を出しており、「2028年10月期に売上収益100億円を達成する」という1つの目標値を掲げています。

その前段階として、2025年10月期に売上収益を55億円、営業利益を11億円まで伸ばします。これに向けて2023年は投資を進めており、2025年10月期にはしっかり自然体に戻して、売上収益55億円、そして、最終的には2028年10月期には売上収益100億円に到達するように、着実に、かつ達成する速度が早まるように、事業を進めていく方針です。

年次成長率で言うと従前から売上収益の130パーセント成長を掲げていました。前期実績の22億円、今期の予想28億円ですが、130パーセントの成長を続けていくと、2025年時点では約46億円です。そのため、55億円を目指している段階で、目標をアップグレードしていることになります。まずは、成長速度を落とさないようしっかり進めていきたいと思います。

20年後の目標設定をする会社もあると思いますが、我々はあまり細かく設定し過ぎず、上方修正を繰り返すことで、成長が継続できればと思います。「どこまで成長するのか」とご期待いただければ嬉しく思います。

質疑応答:M&Aの継続について

分林:「マーケティング関係で収益が出そうな企業であれば、キャッシュフローの範囲内でM&Aを継続されるのでしょうか? もしそうであれば、将来が期待できそうですね」とのご質問というよりも応援メッセージをいただきました。

中山:強くご期待いただきたいです。

分林:これからもM&Aを続けていかれるということですね。

中山:おっしゃるとおりです。

質疑応答:業績予想の基準値について

分林:「業績予想は比較的低めに出していくタイプなのでしょうか。それとも、高めなのでしょうか」とのご質問です。

中山:基本的には低めも高めもないのですが、上場企業として、1年の途中で下方修正することはあってはならないと考えています。弊社の事業進捗が大きく落ち込まない限り、しっかりと達成できる数字を設定しています。

一方で、予算であり目標値ですので、全くストレッチしていないこともありませんが、それでも通期で下方修正することがないような予算に設定しています。

見え方によっては非常に保守的であり、弱気な予算だと思われるかもしれません。しかし、着実に目標を達成して、ご期待を超えていければと思っています。

質疑応答:動画広告について

分林:「動画広告に期待しています。『YouTube』を見ると、御社のコンテンツがほとんど見つかりません。オウンドメディアは重要な戦略かと思うのですが、いかがでしょうか?」というご質問です。

中山:現在、やり切らなければいけない施策が大量にあり、改善、成長できる余白を残している状況です。ご指摘のとおり、「YouTube」等の動画コンテンツにもまだまだ課題があります。

優先順位が落ちる理由の1つに、弊社のリーガルメディア領域のユーザーの年齢層が挙げられます。40代以上の方が多いため「YouTube」等の閲覧率が若干下がります。どちらかというと検索等による利用のほうが多いため、先にそちらをやり切った上で、動画等を進めなくてはいけないと考えています。

若い方が利用されるような「TikTok」等の動画では、なかなかパフォーマンスを発揮しにくい領域を扱っていると思いますが、「YouTube」等に関してはご指摘のとおり課題であるため、しっかりと進めていきたいと思っています。

分林:求人向けの動画も制作されていますよね。

中山:おっしゃるとおりです。会社をご紹介する手法としては、「YouTube」を活用しています。しかし、サービスサイドでは「YouTube」がまだまだ活用できていないため、しっかり進めていきます。

質疑応答:人材の定着対策について

分林:「この業界は比較的人材の流動性が激しいように思いますが、人材をつなげていくための対策などはございますか?」というご質問です。

中山:人によって働きたい理由はさまざまだと思っています。従業員が弊社で働くことに心地よさを感じる部分や、その会社に所属し続ける理由は人それぞれのため、全員に効果的な施策はないと考えています。単純に給与を増やせば人が定着するのかと言えば、そうでもないと思います。長く働きたいと従業員に思ってもらえるような会社にできるよう、一人ひとりの働くモチベ―ションに向き合いながら、福利厚生の充実等にも努めています。

前期の取り組みとして、女性用のお手洗いに生理用品を常備するようにしました。女性社員は、常に無料で使えるようにしています。経営陣には男性が多いため、女性の視点に立てないこともありますが、他社から学んだり、ボトムアップ的に女性社員の声をしっかり吸い上げたりすることによって、男性ではなかなか気付くことができない「働きにくさ」にもしっかりアプローチしています。また、性別にかかわらず、我々では目が届かないところにも施策を講じ、さまざまな点から働きやすさを実現していきたいと考えています。

質疑応答:業績の上振れ、下振れ要素について

分林:「業績の上振れ、下振れ要素があるとすれば、どのようなものがありますか?」というご質問です。

中山:下振れ要素で言うと、サービスが止まる、コロナ禍のように経済全体が止まってしまうような、大規模な社会問題や天変地異、我々では到底コントロールできないリスクが発生した際には、営業成績が大幅に下がるリスクは否定できないと思っています。

一方で、業績が上振れる可能性については、ご期待いただきたいと思います。通期目標を掲げていますが、こちらに今回のM&Aの数字も加算されていきますし、プラスアルファで業績も比較的順調に推移している状況ですので、ぜひご期待いただければと思います。

質疑応答:IRフェアの予定について

分林:「対面式で話を聞いてみたいのですが、IRフェアの予定はありますか?」というご質問です。

中山:株主総会へお越しいただければと思います。IRフェアには他の企業もいらっしゃいますが、株主総会であればマンツーマンで長い時間、我々とだけ対話することが可能です。

株主総会には、毎年ご参加くださる個人投資家の方もいらっしゃって、叱咤激励をいただきます。積極的に質問もしていただけるので、質疑応答がなく、ただ単純に説明だけして終わることはありません。和気あいあいと言うと適切ではないかもしれませんが、しっかり対話させていただくような株主総会になっていますので、ぜひお越しください。

質疑応答:「Yahoo!ファイナンス」の掲示板について

分林:先ほど中山社長もおっしゃっていましたが、「『Yahoo!ファイナンス』掲示板のネガティブな意見に、ぜひここで反論していただきたいです」というご意見です。

中山:「最悪」や「最低な決算だった」といったご意見があった気がしたのですが、この場では具体的にはわからないので、どこが悪かったのかをご指摘いただければ、ご回答したいと思います。

計画どおり順調な決算だったと自負していますので、本日でなくても、何が不安だったのかをご指摘いただけましたら、回答しきれなかったご質問と一緒に弊社のYouTubeチャンネル等でご回答します。不安や懸念を払拭し、安心して株式を保有いただければと思います。

質疑応答:アシログッズについて

分林:今、中山社長が身に付けていらっしゃるアシロパーカーについて「アシログッズが欲しいです」というご意見です。

中山:そのような声が今後も非常に増えていくようであれば検討します。毎年、夏にはTシャツ、冬にはパーカーを作っています。従業員にも好評です。みなさまはアシロのパーカーよりも、有名ブランドのパーカーのほうがお好きかもしれないですが、私はこのアシロパーカーが世界で1番かっこいいと思って着ています。

ぜひシェアしたいので、管理部門とも相談し、株主の方々に株主還元としてTシャツ等をご用意することも検討したいと考えています。着心地のよい素材で、着たいと思っていただけるようなかっこいいデザインを検討できればと思います。

質疑応答:来期に向けての意気込みについて

分林:「来期に向けての意気込みを一言、お願いします」というご質問です。

中山:投資を進め、さらなる高い成長を目指していくという方向性について、今も株を保有いただいている株主のみなさまには期待していただいているのだと思っています。そのご期待にしっかりお応えできるような数字にできるよう、社員一同、経営陣一同でやるべきことをすべてやり切る覚悟で、しっかり事業を進めていきます。

今回、ビッコレのM&Aを進めさせていただきましたが、すべてのサービス、新規事業、M&A等が100パーセント間違いなくうまくいくとお約束はできるものではありません。一方で、このような積極性やチャレンジの心は失わずに、投資や挑戦を継続することによって、企業価値を最大化させていきたいと考えています。

「またアシロ、また中山、こんな領域を始めたな」と思われるかもしれませんが、「チャレンジしているんだ」と思っていただけると嬉しいです。従業員にも、失敗やチャレンジをしない限り、成長はあり得ないと伝えています。今後も臆することなく、しっかり成長を続けるために、チャレンジし続けたいと思います。

質疑応答:時価総額目標について

分林:「目標としている時価総額はありますか」というご質問です。

中山:現状では、時価総額を目標にすることは特にありません。しかし、「上場後に、初値まで戻ってこない」というご不安、ご懸念等を払拭するために、早々に初値には戻したいと思っていますが、時価総額はあまり意識せずに、事業作りに集中したいと思います。

中山氏からのご挨拶

中山:前期末の12月に、上場前からご支援いただいていたJ-STARさまが全株売却されました。改めて上場前からご支援いただいたことに感謝したいと思います。ご担当の山下さま、湯本さま、本当にありがとうございました。

また、本日ご視聴いただいたみなさまも、誠にありがとうございました。掲示板にはネガティブなご意見等もありましたが、ご説明の機会さえいただければ、不安や懸念等を払拭できると思いますので、ご不安が続くようであれば積極的にご質問をいただければと思います。従業員一同、尽力していきますので、引き続き応援をお願いいたします。

当日に寄せられたその他の質問と回答

当日に寄せられたご質問やご意見について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日企業に回答していただきましたのでご紹介します。

<質問1>

質問:今回のM&Aですが、ポイントサイトを使って何がしたいのか、わからなくなりました。社長は何がしたいのか教えていただけますか?

回答:今回M&Aを実施させていただいた株式会社ビッコレはいわゆるポイントサイトやFXデモトレーディングアプリを運営しています。売上の流れとしては、このサイトやアプリを経由して、提携先の金融機関等のサービスを利用する、アカウントを開設するなどのユーザーのアクションのハブとなり、各提携先にユーザーを送客することで成果報酬として売上が計上されます。

これは、弊社の派生メディアと同じビジネススキームであり、いわゆるアフィリエイトメディアとなります。そのため、弊社は派生メディアの中の1事業として運営していくことを予定しており、弊社がこれまでメディア運営で培ってきたSEOや広告運用などのノウハウを活用することで、さらにユーザー数を拡大させることが可能になり得るものと考えています。

加えて、弊社の派生メディアはこれまで主に転職領域で事業規模を拡大してきましたが、アフィリエイトメディアの市場において、金融領域は転職領域と並んで市場規模が大きく、本件買収を通じて金融領域にも進出していきます。

派生メディアにおいて新たなサイト/事業の展開を行っていくことは前期末に公開した中期経営計画でもご案内のとおりであり、今回のM&Aにより派生メディアの収益源が転職と金融の二本柱となり、派生メディア事業としての売上成長余地が拡大するとともにリスク分散にもつながるものと考えております。

<質問2>

質問:株主総会後の会社見学会はいいですね。

回答:貴重なご意見をありがとうございます。現状まだまだ小規模な企業であり、お客さまをお迎えするスペースや設備が少ないものの、今後会社規模をさらに拡大していくことで、会社見学会といった株主のみなさまとのコミュニケーションも可能になるスペースを作ることを検討できればと思っています。

<質問3>

質問:社長の大きな夢にのりますよ。応援しています。

回答:応援コメントを頂戴しまして、誠にありがとうございます。引き続き応援のお言葉をいただけるよう、中期経営計画の達成に向けて前進していきますので、ぜひご期待いただけますと幸いです。

<質問4>

質問:今後もこのようなかたちでの決算説明会を望みます。他チャンネルで申し訳ないのですが「JapanStockChannel」は参考になりました。たまに出ていただけますか?

回答:貴重なご意見をありがとうございます。決算説明会は一般的に、機関投資家やアナリストの方々に限定される企業も多いようですが、弊社は個人投資家のみなさまにも積極的に情報発信していきたいと考えて、現在のスタイルで実施しています。今後も継続する予定ですので、何卒よろしくお願いします。

<質問5>

質問:今回のM&Aによるのれんはどの程度計上する予定ですか?

回答:具体的な金額については、今後、監査法人との協議も経て決定しますので、恐縮ですが現時点ではご回答が難しい状況です。なお、弊社はIFRSを採用していますので、のれんは非償却となり、毎期減損判定を行うこととなります。

<質問6>

質問:ビッコレへの投資は何年で回収されるおつもりですか?

回答:5年程度での投資回収はある程度保守的に見ても可能と考えていますが、シナジーの発現を通じてより早いタイミングでの投資回収並びに事業成長につなげていきたいと考えています。

<質問7>

質問:プライム市場に向けて必要な課題等はありますか?

回答:弊社は現時点において、中期経営計画の達成を最優先目標としています。プライム市場への上場に関しては、今回の中期経営計画を達成した先の議論と考えており、当面はプライム市場の上場要件でもある収益基盤の拡大に全力で取り組んでいきます。

<質問8>

質問:がんばってください。ありがとうございました。

回答:本日はご視聴いただきありがとうございます。また応援コメント等もありがとうございます。株主、投資家のみなさまに叱咤、激励していただきながら、今後も挑戦・成長していきますので、ご支援のほどよろしくお願いいたします。

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