ドル円相場の上下幅が大きくなっていることから、にわかにFX投資が注目されています。直近でも米シリコンバレー銀行(SVB)の破綻を受けて、ドル円が大きく動きました。今週は「植田日銀」初の金融政策決定会合も控えており、ひと波乱おきそうな気配があります。ここからドル円相場はどう動くのか?知っているようで知らないFXのイロハについて解説する連載の第3回目として、「チャート分析」の基本についてお伝えします。(『 安恒理の「ここでしか書かない話」~メディアの裏を読む~ 安恒理の「ここでしか書かない話」~メディアの裏を読む~ 』安恒理)
プロフィール:安恒 理(やすつね おさむ)
福岡県生まれ。男性向け総合雑誌の編集を勤めた後、ライターとして独立。15年にわたる編集、記者として数多くのビジネスマン、経営者を取材した経験をもとに、ビジネス、金融・投資、趣味のサブカル系を中心に執筆を続ける。平成18年「現代ビジネス兵法研究会」設立に参画、「ビジネスの成功法則」の研究を続ける。主な著書に『孫子の兵法のことがマンガで3時間でマスターできる本』(明日香出版)『論語のことがマンガで3時間でわかる本』(明日香出版)『なるほど!孫子の兵法がイチからわかる本』(すばる舎)『フェイスブック・ツイッター時代に使いたくなる「孫子の兵法」』(文芸社)『いちばんカンタン! 株の超入門書』(高橋書店)など。
為替の動きを読むツール「チャート」
この先、米ドルはどう動くのか、外貨はどう動くのか。
その予測を立てるうえで、景気や金利など外部の経済的要因を読む手法を「ファンダメンタルズ分析」といいます。これに対し、過去の為替の動きからデータ分析を行ない、為替動向を探る手法を「テクニカル分析」といいます。
テクニカル分析に欠かせないツールが「チャート」とよばれるグラフです。
基本的なチャートは、2国間の通貨の動きを記したグラフになります。
為替の水準を時系列にあらわしたものです。
米ドル・日本円でいえば、ドルが対円で過去の価格と比べて「上がっているのか」「下がっているのか」が一目でわかるようになっています。
チャートには、リアルタイムで価格が表示される単純な折れ線グラフ(ティック・チャート)もあります(下図参照)。
一般的には「ローソク足」と呼ばれる冒頭に掲載したチャートが使われます。
ローソク足とは、1分間……5分間……1時間……1日……1週間……1か月…といった一定の時間の動きを「ローソク足」という1つの記号(足型)にまとめたものです。
ローソク足は、その一定の期間の値動きを1つの記号に表現したものです。
たとえば、その期間の間の最初の価格(始値)、期間中の最高値(高値)、期間中の最安値(安値)、期間の最後の価格(終値)の4つの価格が一目でわかるようになっています(下図参照)。
中央の太い部分を「柱」といい、始値から終値まで上昇したときにあらわれる足型を「陽線」と呼ばれます(白抜き、ないしは赤色で表示されます)。逆に始値から終値まで下落したときにあらわれる足型を「陰線」といいます(黒色、ないしは青色であらわされます)。
このように一目で下落したか上昇したかがわかるようになっているのです。
投資の手法によって使い分ける
テクニカル分析を重視した投資は、どちらかといえば短期決戦の投資、ファンダメンタルズ分析は比較的長期の投資に用いられます。
おなじFX投資でも、短期勝負か長期勝負によって、投資手法や用いるチャートも異なってきます。
超短期投資には、スキャルピングというやり方があります。これは決済まで短ければ数秒、長くても数分、十数分で済ませるという投資法。
次にデイトレードという短期売買がありますが、それはその日のうちに決済してしまうという投資法です。これも数時間のうちに決済してしまいます。
スイングトレードは数日から1週間ほどで決済します。
それぞれの投資手法に明確な区別はありません。ただ長期投資と短期投資では、使うチャートが異なってきます。
たとえばスキャルピングであれば、使うチャートはティック・チャートや1分足、5分足といったチャートを使います。
スイングトレードであれば、1時間足や日足といったチャートをメインに使います。
Next: 値動きのトレンドをどう読むか?チャート分析の基本の「キ」